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1155. 中緯度地域における冬の天候

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1155. 中緯度地域における冬の天候

 

気象庁によると、2024年秋(9-11月)の平均気温は全国的にかなり高く、地球温暖化等の長期的な気候変動の監視に用いる15地点の観測値による日本の秋の平均気温の基準値からの偏差は+1.97℃で、これまでに最も高かった2023年の+1.39℃を0.58℃上回り、統計を開始した1898年以降の秋として過去126年で1位の高温となりました。

一方、12月5日時点における1か月予報によると、この先一か月は寒気の影響を受けやすく、平年よりも低い気温になる確率が高いそうです。

今年の冬はラニーニャ現象の天候への影響が予測されていますが、中緯度地域において冬の天候に影響を与える原因となるのが、時折、冷たい北極圏の空気が降下してくる現象です。冷たい極地の空気と暖かい中緯度の空気の境界を示す極ジェット気流(polar jet stream)が、蛇行したパターンを形成することで、北極圏を周回する通常のルートから南にずれ落ち、米国、ヨーロッパ、およびアジアに氷点下の寒さをもたらすのです。

極ジェット気流(polar jet stream)と「極渦(“polar vortex”)」はしばし混同されがちですが、同じものではないそうです。極渦は、地球の表面から16〜50キロメートル(10〜30マイル)上に位置する成層圏で発生する強い西から東に吹く風です。対して、極ジェット気流は、対流圏の高度8〜14 km(5〜9マイル)で発生します。 成層圏の極渦と対流圏の極ジェット気流は相互作用する可能性がありますが、極ジェット気流は気象現象や大規模な大気循環に関連して変化するそうです。

北極の温暖化と海氷の減少が極ジェット気流に及ぼす影響は完全には解明されていませんが、急激な北極の温暖化の結果として、極域の空気が中緯度に頻繁に訪れるようになる可能性が指摘され、科学界内で活発な議論が行われているそうです。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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