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1148. 2023年の極端な暑さは、陸地生態系の炭素吸収力を弱めた可能性

1148. 2023年の極端な暑さは、陸地生態系の炭素吸収力を弱めた可能性
通常、土地は人間が排出する二酸化炭素の約3分の1を吸収します。しかし、National Science Reviewに掲載されたチームの研究は、2023年の極端な熱波が大規模な山火事と深刻な干ばつを引き起こし、大気中の炭素を吸収する土地の能力を損ねたことを示唆しています。
欧州宇宙機関(ESA)の支援を受けた科学者らによる国際的なチームは、全球の植生モデルと衛星データに基づき2023年のカーボンバジェットを解析しました。
研究によると、ハワイのマウナロア天文台の測定は、2023年の大気中の炭素濃度が前年比で86%急増し、1958年に観測が開始されて以来過去最高値を記録しました。この急激な増加に対し、化石燃料の排出量は約0.6%しか増加しておらず、陸域生態系の炭素貯蓄能力の低下が気候変動の加速に対する懸念が強まりました。
とりわけ、2023年にカナダ全土で発生した大規模な山火事とアマゾンの干ばつは、北米の化石燃料の総排出量とほぼ同量の炭素を大気中に放出し、気候変動が自然生態系に深刻な影響を与えることを浮き彫りにしています。
(参考文献)
Piyu Ke et al, Low latency carbon budget analysis reveals a large decline of the land carbon sink in 2023, National Science Review (2024). https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwae367/78…;
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)