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1056. 2023年の夏は過去2000年間で最も暑かった

1056. 2023年の夏は過去2000年間で最も暑かった
欧州コペルニクスより過去13か月間は観測史上最も暑いと報告されたところですが、Nature誌で公表された論文は、2023年の夏は、過去2000年間でも最も暑く、産業革命期以来の温暖化傾向の証拠を示しました。
2023年、北半球の夏は観測史上最も暑いと報告されてきました。一方19世紀以降の気象観測値が部分的に欠落していることによって気温が過剰に推計される傾向があり、歴史的な自然変動のコンテクストにおいて近年の温暖化傾向を分析する際の障壁となっていました。
論文は、6月から8月の地表温度の観測値とモデルから推計された値を組み合わせ、2023年が過去2,000年間で最も暖かい北半球の温暖な夏であり、自然の気候変動の95%信頼区間を0.5°C以上超えていることを示しました。 2023 年の 6 月から 8 月の温暖化と、西暦 536年の条件で再現された最も寒い夏(西暦536年の氷床コアには火山灰や破片の堆積物が含まれており、火山活動があったことが示されている)を比較すると、2023 年までの気温変動の最大幅は 3.93 °Cと推計されました。
2023年は、温室効果ガス排出由来の温暖化がエルニーニョ現象の進行によって増幅された傾向と一致していますが、前回のエルニーニョ下での記録的な猛暑であった2016年の北半球夏の気温を2023年は0.23℃上回りました。この極端な現象は、炭素排出削減のための国際協定に沿った目標達成に向けたアクションを実施する緊急性を示しているといえます。
(参考文献)
Esper, J., Torbenson, M. & Büntgen, U. 2023 summer warmth unparalleled over the past 2,000 years. Nature 631, 94–97 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07512-y
Gabriele C. Hegerl & Katherine L. Taylor Last year’s summer was the warmest in 2,000 years. 03 July 2024. Nature 631, 35-36 (2024) https://doi.org/10.1038/d41586-024-02057-6
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)