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1157. 将来の沖縄農業を担う人材の育成に貢献したい(寳川通信)

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1157. 将来の沖縄農業を担う人材の育成に貢献したい(寳川通信)

 

国際農研は、大学のような研究室制度は無く、対象国で関連する課題を集結させたプロジェクト体制を横軸、7つの各専門領域(農村開発領域、社会科学領域、生物資源・利用領域、生産環境・畜産領域、林業領域、水産領域、熱帯島嶼研究拠点)を縦軸として、各研究員は両軸が交差するマトリックス制度の中で研究に従事しています。異なる専門分野に加え、対象生物種も穀物、熱帯果樹、野菜、森林、サトウキビ、牧草、海藻、家畜、昆虫、土壌動物、微生物と多様であり、かつ農産物の加工などを研究する食品系、人間や環境を対象とした社会系の研究者も豊富であり、分野にまたがる研究者も増えてきました。このように、多様な研究者の交流による学際的なアプローチで研究を実施する国内でも稀有な研究機関です。

そのような中、国際農研では若手育成型研究員を積極的に採用するとともに、JIRCASフェローや講習生制度、出前授業を始め、将来的に国際農業研究において活躍が期待される国内外の人材育成にも努めています。今回は、筆者がアウトリーチ活動として、令和6年度高等学校 DX 加速化推進事業(DX ハイスクール)に採択された沖縄県立北部農林高等学校の要請を受け、高校生らを対象に講義を実施したので報告します。

文部科学省が運営する本事業では、高等教育において、デジタル分野等の高度に成長する分野を支える人材育成の抜本的強化を図るために、これまでのカリキュラム教育に加え、ICT を活用した文理横断的・探究的な学びを強化する独自的な取り組みを支援しています。北部農林高校では、 大学や研究機関と連携した高度人材を活用した取り組みをする事で幅広い視野をもった農業学習を目指し、データサイエンスやスマート農業設備の活用を通してスマート農業化に向けた人材の育成を目標としており、外部専門家として筆者にお声掛けいただきました。筆者は、3つの講義『スケールチェンジで植物を観察する』、『植物や環境を計測する装置を作る』、『植物や農家さんの声を聴く』を各担当クラスで実施しました。植物を観察する意義やその手法を中心に解説し、素人でもネット検索の知識を用いてプログラミング言語や電子工作技術を習得し観察・計測装置を自作する楽しさについて紹介しました。また、情報化や多様性といった社会構造の中で、農家さん等の受益者ひとりひとりの声を聴く大切さ(n=1の大切さ)とその手法について説きました。

今後は、国外の農業や研究の紹介を通して学生に多角的な視野を身に付けてもらえるよう、海外での業務経験を積みたいと思います。また、出前講義にとどまらず、課題学習へのアドバイザー等にも積極的に関わり、沖縄県の農業や農業研究を担う人材育成を担っていく予定です。

 

P.S. 今後、寳川通信として研究業務やアウトリーチ活動に関しご報告する予定です。ご意見賜れば幸いです。

(文責:熱帯・島嶼研究拠点 寳川拓生)

 

 

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