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1147. 世界の農業・食料システムをとりまく数字

1147. 世界の農業・食料システムをとりまく数字
国連食糧農業機関(FAO)は、世界の農業食品システムを形作る最も重要なトレンドの詳細な概要を提供する「2024年統計年鑑」を発表、気温上昇、肥満率増加と根強い食料不安の問題、農業生産が直面する環境圧力など、世界の農業・食料システムを取り巻く重要な課題に焦点を当てています。
主なハイライト:
• 世界の農業生産の価値は、過去20年間に実質ベースで89%増加し、2022年に3兆8,000億ドルに達しました。にもかかわらず、世界経済に占める農業の貢献度は比較的安定しており、世界の労働力に占める農業従事者の割合は、2000年の40%から2022年には26%へと減少しています。
• 食料生産は増加し続けていますが、飢餓は依然として根強い問題です。2023年には、推計7億1,300万人~7億5,700万人が栄養不良に陥っており、これは2019年よりも約1億5,200万人多い数値でした。栄養不良人口は、人口比率ではアフリカで最も高く、絶対数ではアジアで最も多くみられました。
•肥満率も特に高所得地域で上昇しています。南北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアにおける成人人口の25%以上が肥満であり、健康で栄養価の高い食へのアクセス確保が世界的な課題であることを示しました。
• 2022年の世界の農作物生産量は、2000年比で56%増の96億トンに達し、サトウキビ・トウモロコシ・小麦・米などの主要作物が、世界の作物生産量のほぼ半分を占めました。
• 食肉生産量は2000年から2022年にかけて55%増加し、その増加分の多くを鶏肉が占め、豚肉を上回り、世界で最も多く生産された肉となりました。
• 農薬の使用量は2000年から2022年の間に70%増加し、2022年の世界の農薬使用量の半分を南北アメリカが占めました。
• 農業で使用される無機肥料は、2000年に比べ37%増加して2022年に1億8,500万トンに達し、この量の58%が窒素肥料でした。
• 植物油の生産量は、2000年から2021年の間に133%増加しましたが、これは主にパーム油の生産量の増加によるものです。
• 農業・食料システムからの温室効果ガス排出量は、2000年から2022年の間に10%増加しました。農場ゲート内での排出量は同期間に15%増加し、家畜はこれらの排出量の約54%を占めています。
• 中近東や北アフリカ地域では、多くの国が極度の水ストレスに直面しており、農業生産の持続可能性に影響を及ぼしています。
(参考文献)
FAO. 2024. World Food and Agriculture – Statistical Yearbook 2024. Rome https://openknowledge.fao.org/handle/20.500.14283/cd2971en
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)