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1093. 2024-34年の世界食料安全保障見通し

アメリカ合衆国農務省(USDA)は、マクロ経済モデル・83か国の低中所得国の需要予測にもとづき、2024-34年の世界食料安全保障見通しを発表しました。短期的な懸念材料はあるものの、旧ソ連諸国や南・東南アジア地域での一人当たりGDP改善により、83か国対象国における食料安全保障の危機に直面する人々は2023年の人口比19%から2034年までに人口比5.5%に改善することが予測されています。一方、83対象国平均で、次の10年間に穀物需要は年率2.4%増加する見込みで、その要因はアジアでは所得成長であるのに対し、サブサハラアフリカでは人口増と推計されています。
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1092. 健康・持続的かつ文化的に適切な食生活

我々の食料システムの環境インパクトを削減し健康を向上するうえで、食生活を変えることは最も重要なアクションの一つです。Nature Food誌の論説は、健康で持続的な食生活を推進するにあたり、対象地域の人々の文化的遺産・価値観・嗜好に配慮する必要があると論じています。
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1091. 損失と損害のためのアトリビューション科学

世界中で極端気象が起こる中、とりわけ適応能力の低い途上国が打撃を受けるようになっています。これを受け、損失と損害(Loss and Damage)のための基金を早急に立ち上げる必要性が叫ばれています。PNAS Nexus誌で公表された論文は、投資の意思決定に貢献するとして、極端現象と気候変動の因果関係を分析するアトリビューション手法と複数のエビデンスを統合するビジョンを提案しました。
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1090. 「人新世」概念の意義

地質学会等を中心に2009年以来、「人新世」を新たな地質時代とする議論が行われてきましたが、その提案は2024年3月に地質学会小委員会で否決されました。ただし、20世紀半ば以降に地球システムを大きく変化させてきた人為的な現象を反映する「人新世」概念は、自然・社会科学・人文科学・政策にとって有用であることは確かです。8月26日のNature誌論説は、「人新世」の意義を論じました。
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1089. 2023年の気候に関する記録

アメリカ気象学会の科学誌(Bulletin of the American Meteorological Society (BAMS))にて2023年世界気候白書が公表され、大気中の温室効果ガス濃度、陸域・海域の世界平均気温、海水面、海洋熱量が過去最高水準を記録したと発表しました。
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1088. 古代の野生近縁種が気候変動に強いコムギ生産システムの鍵を握る

何百万年もの間、変化する気候を生き抜いてきた作物の野生近縁種が、人類が最も広く栽培している作物であるコムギを気候変動に適応させるための解決策を提供するかもしれません。国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)が主導する2つの新しい研究は、この古代の遺伝的多様性を利用することで、コムギの育種に革命をもたらし、世界の食料安全保障を守ることができることを明らかにしました。2024年8月27日に公表された、CIMMYT & Crop Trustプレスリリース の内容を紹介します。
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1087. 世界食料安全保障に向けたAIの活用

近年、農業食料部門においても、人工知能(AI)への期待が高まっています。Artificial Intelligence in Agriculture誌に掲載された論文は、AIを活用することで、食品の生産・流通・管理の在り方を抜本から変え、食料安全保障と持続的な未来を保障する可能性を強調しました。
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1086. 食品ロスと廃棄

世界人口の29%が中程度または重度の食料不安に陥っている世界において、食品ロスと廃棄が総食料生産の約3分の1に達しているという事実を受け入れることは困難です。Nature Food誌は、食料システムにおけるロス・廃棄の問題の根本的な要因・インパクト・解決策に関する議論を紹介しています。
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1085.炭素の社会的費用における所得加重

炭素の社会的費用(Social Cost of Carbon Dioxide: SCC)は、追加的に二酸化炭素が排出されることで社会が追加的に受ける被害を指し、その水準は気候変動への対応を進めるための強力な指針となります。Science誌に公表された論説は、米国の気候変動のグローバルなインパクトに配慮した所得加重の新ガイドラインによりSCCが大幅に高くなることを示し、米国の気候政策に大きな影響を及ぼす可能性があると論じています。
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1084. 生物多様性および気候変動に同時に取り組む必要性

今年後半、世界のリーダー達が、生物多様性の喪失および気候変動に取り組むため、2つの別々の国際会議に招集されます。Journal of Applied Ecology誌に掲載された論文は、生物多様性および気候変動に同時に取り組む必要性を訴えました。
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1083. プラネタリートラスト:世代間公平性に向けた共通認識の基盤づくり

国連が2024年9月に開催予定の「未来サミット」(The UN Summit of the Future)に向け、地球システム維持における世代間の公平性(Intergenerational equity)実現に向けた基盤づくりとして、プラネタリートラスト概念に注目が集まっています。
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1082. 食料システム変革介入評価法の課題

食料システム変革の過程は複雑で予測不能です。The Journal of Nutrition誌に公表された論文は、食料システム介入のインパクト評価を厳密に実施するうえで、「変化の理論Theories of Change」を用いて介入によるトレードオフやシナジー及び意図しない帰結を含む様々なアウトカムを想定し、複数の手法を用いた柔軟な介入・評価手法設計を行うことの重要性を提案しました。
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1081. 持続的な食料サプライチェーンの構築に向けて

世界人口に十分な量の食料供給を保障するうえで、我々は極めて複雑に絡み合った食料サプライチェーンに依存しています。世界経済フォーラムのブログは、食料サプライチェーン関係者の協力とパートナーシップの重要性を論じています。
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1080. 東南アジア連絡拠点だより:タイ科学技術博覧会2024開幕

タイの学生約20万人が来場するタイ国内で最大の科学技術博覧会(Thailand National Science and Technology Fair 2024(NST))が8月16日に開幕しました(開催は8月25日まで)。
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1079. 新たな地球システムへの危機

昨年9月に発表された論文は、9つのプラネタリーバウンダリーのうち、気候変動、生物圏の一体性、生物地球化学的循環(窒素・リン)、土地利用の変化、に加え、淡水利用、新規化学物質汚染、の6つが危険領域を超えていると結論しています。7月15日、Nature Ecology and Evolution誌に発表された論文は、世界各地の淡水・海水エコシステムにおいて観測される貧酸素化(aquatic deoxygenation)を、新たなプラネタリーバウンダリーとして提唱しました。
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1078. 2024年7月の気温

コペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、2024年7月の月別平均気温は16.91°と、2023年7月に記録した最高値を0.04°C 下回ることで、史上二番目の高温記録となり、13か月連続で更新されてきた月別最高気温記録が途切れました。しかしながら、2024年7月22日は日別最高気温を更新し、世界各地からは史上最も暑い月であったと報道がされています。
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1077. 大気中の二酸化炭素の動き

NASAは高解像度のデータを用い、2020年1月から3月の期間において、風や大気循環によってもたらされる大気中の二酸化炭素ガス濃度の動きを可視化した映像を発表しました。この高解像度の映像は、二酸化炭素が発電所・森林火災・都市部から排出され、大陸や海洋に広がっていく様子を捉えています。
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1076. オーバーシュート回避の必要性

2024年のアース・オーバーシュート・デイは8月1日でしたが、人類は地球1.7個分の資源を消費し、日本に関していえば日本6.6個相当の過剰消費を行っているとされています。Nature Communications誌で公表された論文は、地球システムの安定化維持のために、温室効果ガス排出を緊急に大幅削減する重要性を訴えました。
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1075. 2024年7月 世界食料価格動向

国連食糧農業機関(FAO)は、8月2日、世界食料価格動向を公表しました。2024年7月の値は平均120.8ポイントで、穀物価格指標の下落が植物油・食肉・砂糖価格の上昇を上回ったことで、前月より僅かに下落しました。この値は前年比で3.1%低く、歴史的に最高値160.3ポイントを記録した2022年3月に比べ24.7%低い値にとどまりました。
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1074. 新たな農業食料技術の可能性

近年、農業食料分野においても、技術イノベーションが急速に進展しています。国連開発計画の報告書は、‘新たな農業食料技術(novel agrifood technologies)’として、従来の農業の効率性および生産性改善に貢献しうる、幅広いイノベーションや手法を紹介しました。