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1185. 複数年にわたる干ばつ発生頻度の増加と影響

1185. 複数年にわたる干ばつ発生頻度の増加と影響
気候変動のもと複数年にわたる干ばつ(multiyear droughts :MYD)が頻発化し、自然と人間に対する脅威が増大しています。Science誌で公表された論文は、時系列的かつ空間的に連続した異常気象の検証を通じて全球的なMYDを特定し、乾燥度・気温が高まり、植生が減少している傾向を示しました。
分析によると、1980年から2018年にかけ、陸域においてMYDsの影響を受けた地域は年49,279±14,771平方キロメートルのペースで増加しました。
MYDは、極端な土壌水分の枯渇と河川流量の減少につながり、その結果、生態系と人間社会の両方に不可逆的な結果をもたらす可能性があります。MYDの影響は、大規模な作物の不作、樹木の枯死の増加、生態系の生産性の低下、水供給の減少、に及びます。
MYDsの発生、重症度、傾向、および影響に関する定量的なインベントリは、極端な事象の緩和と適応に向けたより効果的で協力的な準備を促進するための重要なベンチマークを提供します。このことから、気候異常の相互作用とその後の生態系への影響を含むMYDsの理解を深める必要性を強調しています。
(参考文献)
Liangzhi Chen, Global increase in the occurrence and impact of multiyear droughts, Science (2025). DOI: 10.1126/science.ado4245. www.science.org/doi/10.1126/science.ado4245
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)