現地の動き

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1217. 記録的に高い海面水温と海面上昇率

Nature誌に公表された論文によると、世界の海面水温は、2023年4月から2024年3月までの平均で2015~2016年の前回記録を0.25 °C上回りました。一方、NASA は、記録上最も暑い年であった2024 年の海面上昇率は年間 0.59 センチメートルで、予想(0.43 センチメートル) を上回り、海水の熱膨張が原因であるとしました。
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1216. タイ発酵食品データベース

発酵食品は地域の気候風土と密接に関連し、農林水産物を無駄なく、美味しく、長持ちさせる利用加工技術として古くから世界中の人の暮らしに役立ってきました。国際農研はタイのカセサート大学食品製品開発研究所[Institute of Food Research and Product Development (IFRPD), Kasetsart University]と発酵食品などの食品利用加工研究で連携し、タイの多様な発酵食品を水産物、畜産物、果物、野菜、米、大豆など原料ごとに分類し、写真と解説、製法を紹介したデータベースをウェブサイトで公開しています。令和6年度には、最新の情報をもとに記載内容の一部改訂、写真の更新を行い、微生物の情報を参考文献とともに追加しました。
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1215. 地球の限界と食料システム変革

2025年3月10日、国連食料システムコーディネーション・ハブ(the UN Food Systems Coordination Hub)は、ポリシーブリーフ(Transforming food systems to return to Earth's limits)を発表、地球の限界の観点から、食料システムを変革する必要性を訴えました。
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1214. アマゾンの森林破壊により、雨季・乾季の降雨パターンが極端化する

森林破壊は、水収支、風向パターン、地球表面と大気間の熱と放射の流れを変えることで、地域の気候に影響を及ぼします。Nature 誌で公表された論文は、森林破壊後のアマゾンの季節的な降雨量変化について分析し、森林破壊は雨季には降雨量を増加させるが、生態系が最も水を必要とする乾季には降雨量を減少させることを示し、気候調節機能を持つ森林の伐採を防ぐ必要性を強調しました。
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1213. 気候変動による食用作物多様性への影響

気候変動は世界の食料安全保障を脅かしており、既に、主要な食用作物の生産性や作付け地域の地理的シフトに影響を及ぼしています。Nature Food誌で発表された論文は、地球温暖化のもと、特に低緯度地域では食料作物の多様性が減少する一方、温帯地域の農業は平均気温の上昇の恩恵を受ける可能性があることを示しました。
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1212. CO2季節サイクル変動における農業施肥の影響

このたび、Nature Communications誌に公表された論文は、農業による窒素 (N) 施肥が、北半球の陸地大気炭素フラックスの振幅増加 (45%) の最大の寄与要因であることを明らかにしました。研究の結果は、北半球の炭素循環フィードバックにおける農業管理の重要性を示し、将来の炭素循環シミュレーションにおいて、農業による N 施肥を考慮すべきであることを示しています。
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1211. 2025年2月 世界食料価格動向  

国連食糧農業機関(FAO)は、3月7日、世界食料価格動向を公表しました。2025年2月の値は平均127.1ポイントで、1月から1.6%上昇しました。肉類価格指数は安定していましたが、その他の価格指数はすべて上昇し、砂糖、乳製品、植物油の上昇が最も顕著でした。全体の指数は1年前の同水準より8.2%高かったものの、2022年3月のピークより20.7%低水準でした。
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1210. 2025年2月、世界の海氷面積は過去最低値を記録

コペルニクス気候変動サービス(C3S)は、2025年2月、世界の海氷面積は過去最低値を記録し、2月としては史上3番目に高い平均気温を観測したと発表しました。
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1209. 2050 年までに世界成人人口の半分以上が過体重および肥満に

過体重と肥満は世界的な流行病ともいえ、今後のトレンドを予測することは政策策定上非常に重要です。The Lancet誌で公表された研究は、1990年から2021年の間に、過体重と肥満の割合は世界・地域およびすべての国レベルで増加し、この傾向が続くと仮定すると、2050 年までに過体重および肥満の成人の総数は推定世界成人人口の半分を超えると予測されます。
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1208.なぜサトウキビを研究するか(寳川通信5)

国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点は亜熱帯島嶼という地理的利点を活かしたサトウキビ研究を行う国内有数の研究機関です。海外では干ばつ害の著しい東北タイを中心に育種研究が進められ、フィリピン等の東南アジア地域とのネットワーク形成にも努めています。今回は、学生への講義を通して、なぜサトウキビを研究するのか、について再考し、今後の研究の発展に異分野連携が必要であること、人材育成のためにサトウキビ研究について外部発信し続ける必要があることを痛感したので報告します。
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1207. 情報溢れる社会で何を教えるか(寳川通信4)

国際農林水産業研究センターは研究機関でありながら、JIRCASフェローや講習生制度、出前授業を始め将来的に国際農業研究において活躍が期待される国内外の人材育成に努めています。今回は、熱帯・島嶼研究拠点の寳川が琉球大学農学部地域農業工学科において、大学3年生を対象に、植物や環境を観察する意義やその手法を中心に解説し、プログラミング言語や電子工作技術を習得し安価かつ高精度な環境計測装置を自作する方法について実演しました。情報溢れる社会で何を教えるかを考える良い機会となりました。
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1206. 世界野生生物の日

世界中の人々は、食料から燃料、医薬品、住居、衣類に至るまで、野生生物と生物多様性に基づく資源に依存しています。食料安全保障と野生生物保護を両立するためにも、収量向上と環境負荷削減を両立する食料イノベーションが必要とされています。
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1205. Carbon Dioxide Removal (CDR)に関するオンラインセミナーのお知らせ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2015年のパリ協定(Paris Agreement)目標を達成するためには、温室効果ガスの排出削減だけでは不十分であり、Carbon Dioxide Removal (CDR)が不可欠であると強調しています。3月6日(木)東京大学未来ビジョン研究センター 主催のオンラインセミナーにおいて、IPCCに関わる専門家がCDR戦略の最新の動向について紹介・議論される予定です。
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1204. 温暖化における極端寒波の発生度

2023年と2024年は記録上最も暖かい年となりましたが、年初来、中国・ヨーロッパ・北米の一部、そして日本も寒波が襲いました。npj Climate and Atmospheric Scienceに公表された論文は、2023年12月中旬に中国東部を襲った寒波を例に、温暖化のもとでも記録破りの極寒減少が起きるという一見矛盾する現象を分析し、将来のリスクを評価しました。
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1203.食料システム変革のストックテーキング

2021年国連食料システムサミットを契機とし、食料システムがSDGの進捗を加速し強化するための重要な手段であるとの認識が高まっています。2023年最初のストックテイクにおいて、各国は食料システム変革に向けた取り組みのペースを加速することを約束しました。国連は、今年7月エチオピアのアジスアベバで開催される第2回食料システムサミットのストックテーキングに、加盟国全員の参加を呼び掛けています。
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1202.過去3年の世界食料危機

3年前の2022年2月24日、ロシアによるウクライナに侵攻を機に、主要食料輸出国を巻き込んだ地政学的リスクは、世界食料安全保障を脅かしました。欧州理事会のHPに掲載された記事が、その影響について振り返っています。
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1201. 将来の気候変動のもとでの水ギャップ

生態系と人類の存在に不可欠な淡水は、ますます不足しつつあります。Nature Communicationsに掲載された研究は、世界中の現在の「水ギャップ」(水の需要が供給を上回る不足)を定量化してマッピングし、気温上昇が 1.5 度未満の場合は世界の水不足は 6% 近く拡大し、気温上昇が 3 度未満の場合は水不足が 15% 近く拡大すると予測しました。
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1200. 最新の食料安全保障事情

2025 年 2 月 17 日、世界銀行のサイトは、最新の食料安全保障事情を発表しました。紛争と気候変動は、引き続き食料不安の主な要因となっており、多くの低所得国では、国内の食料価格インフレが依然として高いままです。実質ベースでは、データが入手可能な164か国のうち、56%で、食料価格のインフレが全体のインフレを上回っています。
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1199.サトウキビ野生種の多回株出し調査が終了!(寳川通信3)

サトウキビは新植して1年から1年半後の冬(または乾季)に収穫され、その後残株からの“ひこばえ”をそのまま栽培する株出し栽培がおこなわれます。株出し栽培は新植に比べ耕起回数が少なく施肥効率が高いため、省力的かつ低炭素な栽培方法として注目されています。一方、株出しを複数回繰り返すと、収量が漸減することも知られています。生産者の高齢化や環境負荷の少ない生産への期待を背景に、株出し回数は増えており、多回株出ししても生産力の低下しない栽培法や品種改良が求められています。熱帯・島嶼研究拠点のサトウキビ研究チームでは、C4「熱帯作物資源」プロジェクトにおいて、多回株出し性の改良に資する野生種遺伝資源の評価を2021年4月より開始し、2025年1月に3回目の株出しの収穫調査を完了しました。
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1198. 長期的な1.5℃温暖化期間への突入可能性

2024年は産業革命以前の水準と比較してパリ協定が目標とした1.5°Cを超える最初の年として発表されました。Nature Climate Change誌の論説は、非常に野心的な気候緩和策を講じなければ、1.5°Cを超えた最初の年にとどまらず、20年間平均で1.5°Cを超える期間に突入する可能性に言及しました。