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1217. 記録的に高い海面水温と海面上昇率

1217. 記録的に高い海面水温と海面上昇率
地球の表面の約70%を覆う海洋は、重要な気候調整機能を有し、および炭素吸収源でもあります。海水は、人類が排出する二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスによる余分な熱の 90% を蓄えます。
Nature誌に公表された論文によると、世界の海面水温は、2023年4月以降1年以上にわたって記録的な水準にあり、2023年4月から2024年3月までの平均で2015~2016年の前回記録を0.25 °C上回りました。このレベルの上昇は、現在の長期的な温暖化傾向では約500年に1回の出来事であることを示しています。著者らは2023 ~ 2024 年の海面温度の記録破りの急上昇は地球温暖化の傾向がなければ事実上不可能であったと結論付ける一方、モデルでシミュレーション不可能なレベルではなく、今後、海面温度は長期的な温暖化傾向に戻ると予想されると示唆しています。
一方、3月13日、NASA は、記録上最も暑い年であった2024 年の海面上昇率は予想よりも高かったことを発表しました。 NASA 主導の分析によると、昨年の海面上昇率は年間 0.23 インチ (0.59 センチメートル) で、予想されていた年間 0.17 インチ (0.43 センチメートル) を上回っています。近年、海面上昇の約3分の2は、氷床や氷河が溶けて陸地から海に水が流入したことによるもので、約3分の1は海水の熱膨張によるものでした。しかし、2024年にはその寄与が逆転し、海面上昇の3分の2は熱膨張によるものとなりました。1993年に海面の衛星観測が開始されて以来、年間の海面上昇率は2倍以上に増加し、1993 年以降、世界の海面は合計で 4 インチ (10 センチメートル) 上昇しました。
(参考文献)
Jens Terhaar et al, Record sea surface temperature jump in 2023–2024 unlikely but not unexpected, Nature (2025). https://www.nature.com/articles/s41586-025-08674-z
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)