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1175. 2024年、記録的な海面水温・海洋貯熱量を観測

1175. 2024年、記録的な海面水温・海洋貯熱量を観測
昨日、2024年が1850年に記録が始まって以来最も暑い年であったことをお伝えしましたが、海面水温についても記録的な高温が観測されました。
Advances in Atmospheric Sciencesに発表された研究によると、2024年、全球の海面水温(sea surface temperature SST)と上部2000mの海洋貯熱量(ocean heat content OHC)が前例のない史上最高値に達しました。2024年は、エルニーニョから中立条件への移行にもかかわらず、大気中の温室効果ガス濃度の増加に応じて、海洋の加熱が続きました。2024年の0–2000m の海洋貯熱量は、2023年のそれを16 ± 8 ZJ(1ゼタジュール)上回り、インド洋、熱帯大西洋、地中海、北大西洋、北太平洋、南極海も2024年に記録的な貯熱量を観測しました。
地球の表面の70%を覆う海洋は地球の気候にとって極めて重要な役割を果たします。大気に比べて熱容量が大きい海洋は、地球温暖化による余剰熱を蓄え、大気との熱のやり取りを通して気候変動の進行を制御しています。海洋の温暖化は、大気中の水蒸気の増加を伴い、干ばつや洪水など、気象の極端な変化を引き起こしかねません。このため、気候変動対策の上で、海面だけでなく海洋貯熱量の変化の監視・解析が必要です。
(参考文献)
Cheng, L., Abraham, J., Trenberth, K.E. et al. Record High Temperatures in the Ocean in 2024. Adv. Atmos. Sci. (2025). https://doi.org/10.1007/s00376-025-4541-3
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)