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1204. 温暖化における極端寒波の発生度

1204. 温暖化における極端寒波の発生度
2023年と2024年は記録上最も暖かい年となりましたが、年初来、中国・ヨーロッパ・北米の一部、そして日本も寒波が襲いました。npj Climate and Atmospheric Scienceに公表された論文は、2023年12月中旬に中国東部を襲った寒波を例に、温暖化のもとでも記録破りの極寒減少が起きるという一見矛盾する現象を分析し、将来のリスクを評価しました。
分析によると、2023年12月の記録破りの寒さは、主に異常に大規模な大気循環パターンによって引き起こされた一方、気候変動による温暖化の影響により、この現象の強度は最大22%減少しました。
気候モデルシミュレーションに基づくこの研究のアトリビューション分析では、人為的な温暖化により、2023年のような寒波の発生確率と強さは、人間の影響がない世界と比較して、すでにそれぞれ92%以上、1.9℃低下していることが明らかになっています。さらに、このような現象は今世紀末までにさらに稀、かつ穏やかになると予測されており、中程度の排出シナリオでは、頻度が95%、強さが2℃以上減少すると予測されています。
ただし、この研究では、極寒の現象は少なくなってきているものの、完全に消滅したわけではないことも強調しています。 つまり、パリ協定の 1.5°C 目標が達成されたとしても、社会は依然として突然の寒波に備える必要があるということです。
(参考文献)
Ye, Y., Qian, C., Dai, A. et al. Attribution of a record-breaking cold event in the historically warmest year of 2023 and assessing future risks. npj Clim Atmos Sci 8, 14 (2025). https://doi.org/10.1038/s41612-024-00886-w
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)