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942. 北極からの大寒波

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942. 北極からの大寒波

 

2024年の1月中旬、世界各地で暖冬を経験する中、欧州やアメリカは北極からの大寒波(Arctic blast)に襲われ、アメリカ中西部では体感温度はマイナス50℃に達したところもあるそうです。このような異常な気象現象は、世界平均の2倍の速さで温暖化している北極で起こっていることと関係しているといわれています。

近年、北極からの大寒波が起こりやすくなっている背景には、温暖化に伴うジェットストリームの蛇行があるといわれています。通常は北極海上空にとどまっている極渦(the polar vortex)が、ジェットストリームが部分的に折れ曲がることで、寒気が低緯度にずり落ちてくるというのです。 

アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、1月中旬の成層圏極渦の動きが予期しない動きをしたとし、「成層圏の悪ふざけ(Stratospheric shenanigans)」と表しました。 今回の極渦の崩れは、大規模な成層圏突然昇温に相当するような風向きの逆行(西-東から、東-西)を伴うことはなく、マイナーであったとしています。一方、今回の成層圏の動きを予想不可能で珍しい現象とした背景に、成層圏と対流圏の境界により近いところで極渦が崩れたことがあったそうです。NOAAは、この極渦の崩れの影響が今後数週間の気象パターンに影響を与えるかどうかは観察してみないとわからないとしつつも、1月一週目のマイナーな気温上昇と成層圏の下方における極渦の崩れが1月中旬に北米を襲った大寒波の原因を作ったことは確かとしています。他方、寒波の原因には様々な要因が関わっている可能性はあり、ジェットストリームを南に押しやるにあたり、極渦が果たした役割だけでなく、現在のエルニーニョや、ジェットストリーム自身の変動の影響もありうるとのことです。

 

地球温暖化は、大寒波の発生など極端現象の頻度を増加させ、複雑な地球システムのもとで、さらに極端現象の予測不可能性も高めているようです。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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