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1206. 世界野生生物の日

1206. 世界野生生物の日
3月3日は、世界野生生物の日(World Wildlife Day)で、ワシントン条約と呼ばれる「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」が1973年3月3日に採択されたことを記念し、経済的、文化的に重要な野生動植物の保護の取組の強化を目的としています。
世界中の人々は、食料から燃料、医薬品、住居、衣類に至るまで、野生生物と生物多様性に基づく資源に依存しています。自然は生態系を維持し、自然のプロセスを調整し、生物多様性を支え、人間の生活を支え、持続可能な開発目標 (SDGs) の達成に貢献する重要なサービスを提供します。森林だけでも、60,000 種の樹木、両生類の 80%、鳥類の 75% が生息し、食料、医薬品、収入という形で 16 億人以上の人々を自然資本で支えています。
100 万種以上の種が絶滅の危機に瀕していると推定される今、野生生物保護のための革新的な資金調達はかつてないほど緊急の課題となっています。世界の GDP の半分以上が自然に依存しているため、生物多様性の喪失は財政の安定に対する大きな脅威となっています。たとえば、一部の国では漁業が GDP の 10% 以上を占めていますが、海洋魚類の 3 分の 1 以上が乱獲されており、失業、経済の混乱、違法な漁獲慣行につながっています。
おりしも、生物多様性条約第16回締約国会議再開会合(通称COP16-2)が、2月25日から27日にかけて、イタリアのローマで開催され、2024年にコロンビアのカリで開催された国連生物多様性会議COP16において決定に至らなかった議題の解決、とりわけ2022年に合意された昆明・モントリオール世界生物多様性枠組み(KMGBF)の実施に向けた取り組みに関して、議論が行われました。交渉の末、条約締約国は、世界の生物多様性資金ギャップを埋め、2030年までに少なくとも年間2,000億ドルを動員するという目標を達成することを目指し、資源動員の今後の進め方について合意したと伝えられています。
農業は、生物多様性喪失の最大の原因の一つともされていますが、作物の改良による持続的な生産性向上は、世界人口に栄養ある食を供給しつつ、耕作地の拡大を抑制し、土地利用に由来する温室効果ガス (GHG) 排出量を削減し、数千の絶滅危惧にある動植物種を救ったというエビデンスが示されています。食料安全保障と野生生物保護を両立するためにも、収量向上と環境負荷削減を両立する食料イノベーションが必要とされています。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)