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1181. 食料システム・カウントダウン

1181. 食料システム・カウントダウン
食料システム変革は、持続可能な開発目標(SDGs)、パリ協定、グローバル生物多様性枠組、その他多くの国際的な目標を達成するために必要です。食料システムは全セクターの人々や生態系に影響を及ぼすことから、変革の過程を理解し、追跡することが求められます。
コロンビア大学、コーネル大学、国連食糧農業機関(FAO)、および栄養改善のためのグローバルアライアンス(GAIN)による食料システム・カウントダウン・イニシアティブ(FSCI)は、食料システム変革に関する50の指標を5つのテーマ:1)食・栄養・健康;2)環境・天然資源・生産;3)生計・貧困・公平;4)レジリエンス;5)ガバナンス、に分類し、その進捗状態について報告書を公表しました。
FSCI指標の分析は、世界の食料システム変革に関し、ポジティブな進展と新たな懸念の双方を明らかにしました。ポジティブな点として、時系列的な分析が可能であった42の指標のうち20で望ましい方向への変化が見られました。
時間とともに望ましく(かつ統計的に有意に)増加している15の指標は、変化率の大きい順に、情報アクセス、携帯電話の使用(インフラと接続性に関する指標)、安全な水へのアクセス、動物遺伝資源の保全、社会資本、果物の収穫量、野菜の供給、牛肉の収量、政府の有用性、植物遺伝資源の保全、牛乳、野菜の収量、穀物の収量、果物の供給、窒素利用効率、が挙げられました。とりわけ、安全な水へのアクセスの向上、野菜の供給の増加、植物および動物の遺伝資源の保全の強化は、気候やその他ショックに対する食料システムのレジリエンス強化に貢献します。
望ましい方向性に減少している5つの指標は、変化率の大きい順に、牛肉および牛乳由来の温室効果ガス排出強度、食料供給の変動性、栄養失調人口の割合、健康的な食事を手に入れられない人々の割合、です。
しかし、重要な課題も浮かび上がりました。健康的な食事のコスト(インフレを反映)、中程度または深刻な食料不安を経験している人口の割合、農村の過少雇用、農薬の使用、食品価格の変動、市民社会の参加、政府の説明責任、の7つの指標は悪化を示しました。
(参考文献)
Food Systems Countdown Initiative. 2025. The food systems countdown report 2024: Tracking progress and managing interactions. New York: Columbia University; Ithaca: Cornell University; Rome: Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO); Geneva: Global Alliance for Improved Nutrition (GAIN).
Schneider, K.R., Remans, R., Bekele, T.H. et al. Governance and resilience as entry points for transforming food systems in the countdown to 2030. Nat Food (2025). https://doi.org/10.1038/s43016-024-01109-4
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)