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1129. ランセット・カウントダウン2024

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1129. ランセット・カウントダウン2024

 

2015年パリ協定当初の期待にかかわらず、世界は今、世界平均気温を1.5°Cに抑えるという目標達成未達の危機に直面しています。 2023年には年平均気温が産業革命前のベースラインを1.45°C上回る過去最高を記録し、極端な気候が世界中で多くの命と生活を脅かしています。

ランセット・カウントダウン2024年レポートは、過去8年間のモニタリングを通じ、これまでで最も懸念される調査結果を明らかにしています。

2023年、65歳以上の人々の熱中症による死亡者数は、1990年‐99年期比で167%増加し、過去最高を記録しました。これは、温暖化がなかったとされる場合に比べて2倍増に相当します。

過去10年間で、世界の陸地面積の61.3%相当で、1961年‐1990年のベースラインと比較して年間平均降水日数が増加しました。一方、降水パターンの変化と気温の上昇により、世界の陸地面積の48%が、2023年には少なくとも1か月間極端な干ばつの影響を受けました。

熱波や干ばつの頻度が高まることにより、124カ国で合計1億5,100万人が中程度から重度の食料不安を経験し、栄養不良や飢餓のリスクが高まりました。

このような脅威が増大しているにもかかわらず、政府や企業は化石燃料に依存し続け、人々の健康と生存をさらに危険にさらしています。世界のエネルギー関連の排出量は2023年に過去最高を記録しました。温室効果ガス排出量の増加に加えて、2016年から2022年の間に約1億8,200万ヘクタールの森林が失われ、大気中の二酸化炭素を貯留する自然の能力が低下しています。

気候変動の最も深刻な健康への影響を回避するために、エネルギー、輸送、食料、農業、医療など、社会システム全体で協調的かつ構造的かつ持続的な変化が必要とされています。

 

(参考文献)
The 2024 report of the Lancet Countdown on health and climate change: facing record-breaking threats from delayed action, The Lancet (2024). https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)0182…

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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