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1188. 海洋温暖化の速度が過去40年間で4倍以上に

1188. 海洋温暖化の速度が過去40年間で4倍以上に
先日、2024年に全球の海面水温(sea surface temperature SST)と上部2000mの海洋貯熱量(ocean heat content OHC)が史上最高値に達したという論文を紹介しました。
1月28日に公表されたレディング大学による研究は、世界の海水温は2023年から2024年初頭にかけて450日連続で過去最高を記録し、海洋温暖化の速度が過去40年間で4倍以上になったことを明らかにしました。具体的には、海水温は、1980年代後半には10年あたり約0.06°C上昇していましたが、現在は10年あたり0.27°Cのペースで上昇しています。
加速化する海洋温暖化は、太陽からのエネルギーが宇宙に逃げるよりも地球システムに吸収されているという、地球エネルギーの不均衡拡大によって引き起こされています。温室効果ガス濃度の増加により、地球エネルギーの不均衡は2010年以降約2倍に増加しています。論文によると、温暖化の一部は太平洋の自然現象であるエルニーニョが原因ですが、記録的な高温の44%は過去10年間に海洋が加速的に熱を吸収したことに起因していました。
加速する海洋温暖化は、化石燃料の燃焼を減らし、気候を安定させることの緊急性を示しています。
(参考文献)
Merchant, C. J., Allan, R. P., & Embury, O. (2025). Quantifying the acceleration of multidecadal global sea surface warming driven by Earth's energy imbalance. Environmental Research Letters, 20(2), 024037. https://doi.org/10.1088/1748-9326/adaa8a
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)