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1097. 過去5年間メタン排出がこれまでにない速さで増加

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1097. 過去5年間メタン排出がこれまでにない速さで増加

 

メタン(CH4)は気候変動の原因となる強力な温室効果ガスです。グローバル・メタン・プレッジのもと、150か国以上の国々が10年間でメタンを30%削減すると宣言しましたが、9月10日に発表された論文(link is external)によると、過去5年間メタン排出がこれまでにない速さで増加しました。


大気中のメタン濃度は今や産業革命以前の水準の2.6倍、少なくとも過去80万年間で最も高水準です。世界トップの気候科学者らによると、最悪のシナリオの下でメタン排出は増加し続ける予測です。現状のメタン排出トレンドが続くようであれば、今世紀末までに世界の温暖化は3℃以上に達しかねません。

メタンは強力な温室効果ガスで、湿地帯などの自然由来、あるいは農業・化石燃料・埋立地などの「人為的」由来のものがあります。排出されたあとの20年間、メタンは二酸化炭素よりも90倍の速さで大気を温める傾向があることから、短期的に温暖化を抑制するうえでメタン削減は効果的な目標となります。

近年メタン削減を掲げた政策が増えているにもかかわらず、今回の分析によると、過去20年間にメタン年間排出量は20%増加しました。その要因は、主に石炭採掘、石油およびガス生産利用、牛・羊牧場、埋め立て地での食品および有機廃棄物の分解、が指摘されました。

過去20年間にメタン排出削減に成功したのは欧州連合とオーストラリアである一方、地域的に大きな排出があったのは中国と東南アジアでした。最新のデータである2020年、世界メタン排出量の65%相当である4億トンが人為的由来であり、化石燃料産業由来の排出1トン当たり農業と廃棄物由来の排出は約2トンでした。

 

(参考文献)
R B Jackson et al 2024 Environ. Res. Lett. 19 101002 https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/ad6463/pdf(link is external)

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

 

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