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1182. 地球規模の水循環における人為的な影響

1182. 地球規模の水循環における人為的な影響
最近発表された論文において、NASAの科学者たちは、約20年の観測データを用い、地球規模の水循環における人為的な影響が我々の想像以上に重要であることを確認しました。科学者たちは、2003年から2020年までの期間に関し、全球降水量・土壌水分データセット・陸域における水循環・植生状態に関するリモートセンシングデータを収集し、変化の大部分は農業などの活動によって引き起こされており、生態系や水管理に影響を与えている可能性が示唆されました。
論文は、水循環における三つの異なる変化に焦点を当てました。第一に、地下水の減少傾向等の変化、第二に、作物成長期や雪解け時期の早まりのような季節性の変化、第三に、「100年に一度の洪水」のような極端事象頻発化の変化、です。
これらの変化は、洪水のためのインフラ設計や早期警戒システムのための干ばつ指標の開発など、水管理を計画する際の水循環の仮定にも影響を与えます。この研究結果は、未来の地球の水循環をシミュレートするために使用される地球システム・モデルは、人為的活動による進行中の影響を統合すべきことを示唆しています。
(参考文献)
Wanshu Nie et al, Nonstationarity in the global terrestrial water cycle and its interlinkages in the Anthropocene, Proceedings of the National Academy of Sciences (2024). DOI: 10.1073/pnas.2403707121 https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2403707121
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)