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1220. 2024年における人為的な気候変動の兆候

1220. 2024年における人為的な気候変動の兆候
3 月 19 日に発表された世界気象機関 (WMO) の新しい報告書によると、人為的な気候変動の兆候は 2024 年に新たな高みに達し、異常気象による大規模な経済的および社会的混乱をもたらし、気候変動の影響の一部は数百年・場合によっては数千年にわたって回復不能なものになると見通されています。
報告書では、2024 年の地球平均地表温度は 1850 ~ 1900 年の平均より 1.55 ± 0.13 °C 高く、 175 年間の観測記録の中で最も暖かく産業革命以前より 1.5°C 以上高い最初の暦年である可能性が高いことが確認されました。報告書によると、長期的な地球温暖化は1850~1900年の基準値と比較して現在1.34~1.41℃と推定されていますが、統計には不確実性の範囲があることも指摘し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と連携し、長期的な地球気温変化の一貫的な追跡を確実にするために、さらなる調査の必要性があるとのことです。
その他、報告書は、2024年のハイライトとして次のことを特筆しています。
- 大気中の二酸化炭素濃度は、過去 80 万年間で最も高いレベルにある。
- 世界的には、過去 10 年間はそれぞれ、過去最も暖かい 10 年間であった。
- 過去 8 年間はそれぞれ、海洋熱量で新記録を樹立した。
- 記録上最も低い北極の海氷面積 18 ヶ年はすべて、過去 18 年間に記録された。
- 最も低い南極の海氷面積 3 ヶ年は過去 3 年間に記録され、同期間の氷河の質量の減少は最大であった。
- 衛星による測定が始まって以来、海面上昇率は2倍になっている。
大気中二酸化濃度は、2023 年 (統計が入手可能な最新年) に420.0 ± 0.1 ppm(3,276 Gt に相当) に達し、2022 年より 2.3 ppm 高く、産業革命前 (1750 年) の 151% に相当しました。特定の場所からのリアルタイム データによると、二酸化炭素に加え、メタン・亜酸化窒素と、 3 つの主要な温室効果ガスのレベルは 2024 年も引き続き上昇しています。二酸化炭素は何世代にもわたって大気中に残り、熱を閉じ込める効果が懸念されます。
気候変動が進行する中、2024 年は極端な気象事象により、住宅・重要なインフラ・森林・農地・生物多様性が破壊され、2008 年以来、新たな避難者数が最多となりました。紛争の激化・干ばつ・国内の食料価格高騰など、さまざまなショックの複合的な影響により、2024年半ばまでに、世界18か国で食料危機が悪化しました。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)