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24. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界銀行報告:COVID-19の一次産品商品市場への影響
2020年4月、世界銀行 (World Bank) は 商品市場見通し報告書(April 2020 Commodity Markets Outlook)を公表、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が商品市場に与える影響を「未だかつて経験したことのないショック」と表現しました。COVID-19パンデミックの拡大に伴い、過去3か月間に一次産品価格が暴落、とりわけエネルギー部門が最大の影響を被りました。農作物価格は今のところ石油価格やメタル価格ほどの影響はまだ受けていませんが、今後の動向によっては、消費に占める食料支出の大きい低所得国における食料安全保障への影響も懸念されます。
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23. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界気象機関 (WMO)報告:地球温暖化の経済インパクト
世界気象機関(World Meteorological Organization)は、2020年4月22日、「2015-2019年グローバル気候報告書(The Global Climate in 2015–2019)」を公表しました。WMOは、過去5年間に気候変動の兆候と地球へのインパクトは次第に勢いを増し、今後もこの傾向が続くと予想される中、さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が気候変動の社会経済的影響を悪化させていると警鐘を鳴らしました。
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22. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 飢餓のパンデミック
国連世界食糧計画(国連WFP)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、急性の飢餓が2020年末までに2億6500万人にのぼるリスクがあるとの懸念を表明しました。この数字は、私たちの直面している大災害の規模を表しています。ウイルスによる健康被害の拡大が特に懸念されるのは、紛争地域に住む人々や、自宅を離れて難民キャンプに入らざるをえない人々です。混雑したキャンプではウイルスが蔓延する可能性があります。同様に、窮屈で不衛生な都市のスラムに住む人々も危険にさらされるでしょう。
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21. 新型コロナウイルス・パンデミック ― アースデイと生物多様性
国際アースデー50周年を迎える2020年4月22日現在、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が世界中を席巻しています。国連によると、4か月ごとに発生する新しい感染症の75%は動物由来であるとされ、人間・動物・自然環境の間に極めて密接な関係があることを示しています。近年、動物から人へ伝播可能な人獣共通感染症 (zoonotic diseases) が増加している背景には、自然への人為的介入による生物多様性の破壊が多かれ少なかれ関わっていると考えられています 。国連は、COVID-19と気候危機・生物多様性の喪失に言及し、人々と地球双方に優しい持続的経済へのシフトの緊急性を喚起しました。
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20. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界経済危機と気候変動対策
世界を吹き荒れる新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) パンデミックによる経済活動の停止は、皮肉にも「地球に優しく」、2020年の二酸化炭素排出は第二次世界大戦以降最大の下落率を記録すると見込まれています。しかしこの影響の長続きは期待できず、将来取り返しのつかない気候変動リスクの回避には、土地利用やエネルギー部門を含む抜本的な社会経済構造の転換が不可欠となります。気候学者らは、コロナ感染ピークを低くして流行曲線を平坦化(flattening the curve)する公衆衛生戦略から学び、国際協調のもとで速やかに強靭で持続的な経済システムのためのインフラ構築に投資を行っていくべきであるとしています。
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19. 酵母のはたらき ― 産業酵母と新産業酵母
酵母は、我々の食生活に直接かかわる調味料や発酵食品の生産に深く貢献しています。パンや酒に利用されるサッカロミセス属に分類される酵母は「産業酵母」と呼ばれ、科学の分野でもモデル生物として使用されてきました。一方、サッカロミセス酵母とは異なる機能や性質を有する約100属余りの酵母が報告されています。例えば、耐熱性を有し40℃以上での培養発酵が可能な酵母や、強い酸性状況の下で生育発酵する酵母があります。中には、油脂生産や界面活性剤生産、生分解性プラスチック分解など、産業利用の可能性が高い酵母も多くみられることから、これらは「新産業酵母」と呼ばれ、新たな機能性や有効形質の発見が期待されています。国際農研は、新産業酵母の細胞壁が動物細胞の免疫活性化を促すことに着目し、乳牛の飼料サプリメント開発を目指した研究を行っています。
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18. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 移動規制・物流寸断による食料出荷・農業生産への波及経路
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大(パンデミック)を受け、各国の農業現場において、都市封鎖や移動規制が実施されています。問題の長期化は、市場への食料出荷や農業生産に必要な物資や労働者の調達を滞らせ、食料危機をもたらす可能性も否めません。 国連・食糧農業機関(FAO)は、COVID-19パンデミックの影響が、生産・加工かつ国内・国際流通網を含むフードシステム全体に及びうると警鐘を鳴らしています。途上国における食料安全保障を考える上で、COVID-19パンデミックは、フードシステム・バリューチェーンの果たす重要な役割も炙り出しているといえます。
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17. 新型コロナウィルス・パンデミック ― 石油需要・原油価格の動向と再エネ・バイオエネルギーへの影響
太陽光発電や風力発電の急速なコスト低下により、近年電力セクターを中心として再生可能エネルギーの転換が世界的に加速化してきました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、世界的な移動の制限、経済活動の制約、これに伴う石油需要の減退と原油価格の下落により、2020年の成長見通しに影を投げかけています。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、石油価格の低下が再エネ電力に与える影響は限定的であると述べる一方、運輸セクター(自動車・航空燃料)においてはバイオ燃料を含む再エネ利用への短期的な影響が顕在化しているとしています。長期的な視点に基づくエネルギー転換の必要性や、気候変動目標の達成に向けた政策の必要性については、コロナウイルス危機の前後で何ら変わるものではなく、むしろ今こそ社会経済の脱炭素化や持続可能な開発の目標の推進に向けた道筋を示していくことが求められています。
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16. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界銀行速報:アジア太平洋地域の開発途上国 大幅な成長鈍化の可能性
世界銀行 (World Bank)は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)により、アジア太平洋(EAP)地域の開発途上国の経済成長率が2019年の+5.8%から2020年には+2.1~-0.5%と大幅に鈍化するという分析結果を公表しました。観光に関わるサービス業が最も深刻な影響を受けると見られる一方、農業生産額も3%前後減少すると予測されています。また、EAP地域には農業従事者割合が高い国が多く存在するため、公的な社会保障へのアクセスが困難な小規模農家の所得や健康に大きな影響が及ぶといった問題が危惧されています。世界銀行は、各国の大胆な国家的行動とより深い国際協力の必要性を訴えています。
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15. 新型コロナウイルス・パンデミック ―世界貿易減少と商品作物輸出依存途上国への影響
熱帯・亜熱帯地域の高地に位置する途上国では、従来、茶・コーヒーなどの輸出商品作物栽培がさかんですが、最近では主要仕向け地への航空貨物ネットワークの確立により、花卉・園芸産業も急激に輸出を伸ばし、グローバル・バリューチェーンに大きく組み込まれています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、国際需要の落ち込みと国際線停止によって、商品作物輸出に依存する途上国に大打撃を与えています。2020年4月8日、世界貿易機関 (WTO)は、2020年の世界貿易量が13-32%落ち込むことを予測、人々の生活を守るために前例のない措置をとる必要性を訴えました。とりわけ商品作物に外貨獲得・GDP・雇用創出を依存する食料輸入国の食料安全保障状況について注視していく必要があります。
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14. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界銀行速報:サブサハラ・アフリカ25年ぶりの経済不況へ
2020年4月8日、世界銀行 (World Bank) は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響により、サブサハラ・アフリカ (SSA)地域の経済成長率が2019年の+2.4%から2020年には-2.1~-5.1%のマイナス成長に転じるとし、25年ぶりの不況を予測しました。とりわけナイジェリア・南アフリカ・アンゴラなど石油・鉱物輸出依存国やエチオピアやケニアなどグローバル・フード・バリューチェーン参加国が大きな打撃を受ける一方、輸出・移動規制の影響等もあり、農業生産も2.6%~7%も縮小することが見込まれています。世界銀行は、SSA政府の支援を通じ、COVID-19に伴うアフリカ食料危機の発生を何としてでも回避する必要性を訴えました。アフリカ開発会議(TICAD)を通じ、アフリカを成長著しい21世紀最大のフロンティアとして官民一体で開発を力強く支援する立場をとってきた日本も、国際社会と協調していく必要があります。 -
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13. 熱帯・島嶼拠点@石垣島における熱帯果樹研究
近年、世界的にも観光地として注目を浴びている石垣島は、地理的には沖縄本島よりも台湾に近く、気候的には亜熱帯地域に属します。国際農研は、日本の農業研究機関では唯一熱帯作物の栽培環境での実証研究が可能な石垣島に研究拠点を持ち、国内外の農業に貢献するために大きな使命を担っています。その一環として、開発途上国と日本の双方における熱帯果樹生産の促進に貢献することを目的とし、マンゴーとパッションフルーツの研究を行っています。これらフルーツはビタミンなどの栄養素に富み、また商品価値も高く、優れた品種育成につながる研究は、国内外の消費者・生産者双方の利益になると期待されます。
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12. 新型コロナウイルス・パンデミック ― アフリカの模範国:ルワンダの農業が直面する課題
アフリカの内陸国ルワンダにおいて、約100日間に50万人以上が命を落としたとされる大虐殺から、2020年4月7日で早くも26年が経ちます。 この間、観光産業、ICT、都市インフラへの投資は目覚しく、ルワンダは、紛争後の再建に成功した模範国として挙げられ、医療分野でもアフリカの成功例として称えられています。新型コロナウィルス (COVID-19) に関しては 、政府は前年にエボラ感染を阻止した経験を活かしつつ、ロックダウンを開始しました。そんなルワンダですが、経済の根幹を担うのは未だに小規模農業です。日本の人口密度を遥かに超える過度な人口圧力の下、農地の細分化・狭小化が進行しており、持続的な栽培技術と体系が求められています。同時に、栄養の面からも、多様な食品を摂取する必要性があります。
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11. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 国際貿易と食料安全保障
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による移動規制・都市封鎖 (ロックダウン)に際し、グローバル・フードチェーンはその頑強性(robustness)・強靭性(resilience)が試されています。国際社会が世界的な食料危機を乗り越えるには、国際貿易の動向についての情報もしっかりモニターしていく必要があります。全農産物の貿易額は2000年から2018年に額面で3倍、重量ベースで約2倍に拡大しました。日本は穀物貿易において世界第三位の輸入国であり、カロリーベースの食料自給率が37%である原因の一つが、メイズ(トウモロコシ)を主原料とする畜産飼料の海外依存です。コメの国際貿易においては、意外にもアジアから中東・アフリカへの流れが大きく、一人当たりのコメの消費量が日本よりも多い純輸入国も多くあります。近年、アフリカのコメ消費量は都市化と人口増加で年々増えており、籾収量と作付け面積双方の持続的な増加に貢献する技術が、自給率向上の鍵となります。 -
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10. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 中央サヘル地域における人道・食料危機:ブルキナファソのケース
2020年4月2日、国連世界食糧計画(WFP)は、アフリカのブルキナファソ・マリ・ニジェールを中心とする中央サヘル地域の食料不安が「制御不能になりつつある」と強い懸念を表明しました。中でもブルキナファソは、人間開発指数で189か国中182番目にランクする最貧国ですが、近年度重なる干ばつと過激派の活動により、国内避難民が急激に増加する一方、全国のヘルスセンターが閉鎖され、医療制度が弱体化しています。この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 対応により、学校閉鎖によって給食が唯一の栄養源だった児童への影響が懸念され、さらに移動制限によって物流が滞り外部からの援助も受けられなくなる可能性があります。WFPは、今年6月までに食料安全保障の危機に直面する人口が、昨年同時期の3倍に達しうると予測し、国際社会に支援の必要性を訴えました。
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9. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 輸出規制・保護主義回避の必要性:2008年世界食料危機からの教訓
COVID-19パンデミックにより、世界各国で外出自粛や移動制限の実施への対応として、食料品の買い占め・買い溜めに走る消費者の姿がニュースとなり、食料確保のために備蓄・輸出禁止に乗り出した国も報告されています。2020年4月現在、世界的には主要穀物に関して十分な備蓄があるとされていますが、今後食料安全保障のナショナリズムが台頭し、グローバル・フード・サプライシステムの機能不全をもたらせば、2008年リーマン・ショック時と同時期に発生した食料価格危機の再来も懸念されます。食料輸出国による輸出規制の連鎖と食料価格急騰により最も影響を受ける可能性があるのが、サブ・サハラアフリカ諸国、そして日本のような食料純輸入国です。国連の食糧農業機関(FAO)・世界保健機関(WHO)・世界貿易機関(WTO)事務局長は、共同声明において、世界中の人々が食料安全保障と生活のために国際貿易に依存している今日、国際社会は輸出制限の回避に協調しなければならないとしました。
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8. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界食料危機への国際社会による対応
2019年12月に発生が確認された新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響は、今や世界中に及んでいます。今後、サブサハラ・アフリカ地域を含む医療体制の脆弱な低所得国への拡大により、社会・人道的危機に加え、世界食料・栄養安全保障危機の悪化が懸念されています。2020年3月26日夜、日米欧や新興国を含む20カ国・地域(G20)の首脳が史上初のテレビ会議を開き、パンデミックの経済的な打撃に対処するとの声明を発表しました。グローバル社会の強靭性を強化する上で、保健制度及び経済が脆弱な開発途上地域、特にアフリカおよび小島嶼国が直面する危機を深刻に懸念し、コミュニティに対する能力及び技術支援を強化するために資金を動員することを約束しました。 -
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7. イネ遺伝資源に関する国際共同研究体制の必要性
日本では様々なコメの品種改良が行われ、国内各地域に適応したコメ品種が生みだされてきました。一方で、世界の貧困地帯は熱帯などの開発途上地域に集中しており、コメも主要な食料の一つとして利用されています。近年、温暖化や異常気象が進む中、コメの品質が低下したり、安定的に十分な収量を得られなくなることも危惧されています。気候変動による天候不順等に備え、コメの安定生産を図ることが、開発途上地域の貧困の解決や社会の安定化、ひいては日本の食料安全保障にも大いに貢献することになります。国際農研では、コメ遺伝資源および育種素材の保存と利用に向けた国際的な協力体制の確立に貢献するため、育種素材の確保とそれらに対する基礎データベースの開発に取り組んでいます。
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6. 気候変動と世界食料生産危機 - 持続的資源・環境管理技術への期待
2019年、権威ある国際機関がこぞって気候変動と環境劣化の進行が予想以上に進行していることに警鐘を鳴らしました。環境劣化・気候変動は農業への負のインパクトをもたらすと同時に、農業自身が環境劣化と気候変動の主要な原因の一つでであることにも着目しなければなりません。農林業その他土地利用(Agriculture, Forestry and Other Land Use -AFOLU)は、人間活動を原因とする温室効果ガス(GHG)の23%を占め、AFOLUの変化はまた、人間活動に起因する生物多様性の喪失の主要な原因となっています。食料・栄養安全保障の達成を目指しつつ、将来取り返しのつかないリスクを回避するためには、AFOLUによる気候変動や環境への負の影響を最小化していく技術開発と普及が必要です。国際農研は、水・土壌・肥料等の農業資源を持続的、安定的に活用しつつ、生産性を改善する技術開発を通じて、農業の持続的集約化の実現と気候変動問題への貢献を目指しています。
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5. 熱帯等の不良環境における農産物の安定生産技術の開発
アフリカをはじめとする開発途上地域には、土壌の低肥沃度や干ばつ等の不良環境のために農業生産の潜在能力が十分に発揮できていませんが、こうした地域の小規模農民の多くは、気候変動をもたらす原因に最も関与していないにもかかわらず、最大の被害を被ることが予測されています。世界的に貧困・飢餓の撲滅を達成するには、土壌や水資源に恵まれない熱帯等の開発途上地域における食料増産・安定化を推進するための技術開発が極めて重要です。国際農研では、アフリカをはじめとする開発途上地域において、農産物の安定生産技術の開発に取り組んでいます。