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88. アフリカ開発銀行: アフリカ経済の展望補足2020 - COVID-19の中で -

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アフリカ開発銀行は、2020年7月7日、「アフリカ経済の展望 補足2020 - COVID-19の中で -1」を発表しました(https://www.afdb.org/en/news-and-events/interviews/african-economic-outlook-supplement-here-how-african-countries-can-deal-covid-19-reopen-economies-and-accelerate-recovery-charles-lufumpa-36761)。

すでに、「アフリカ経済の展望2020」が2020年当初にまとめられていますが、COVID-19の世界、そしてアフリカ経済の多方面に大きな影響を及ぼしています。この補足資料は、COVID-19の問題に起因する多くの変化に対し、2020年、2021年のアフリカ各国の経済成長予測の見直しを行い、COVID-19の経済への影響を評価するとともに、アフリカ諸国が戦略的な対応を取るために必要な情報を提供することを目的として作成されました。

本資料では、COVID-19の影響を受けた2020年のアフリカ地域のGDPの伸びは1.7%と、COVID-19以前の予測値7.3%から大きく低下すると予測しています。すでに政府支出の増大に起因する問題も散見されており、今後の食料やエネルギーを含む生活必需品の価格上昇が予測されています。アフリカではすでに4.25億人が極度の貧困状態(1日1.9米ドル未満で生活)にあるとされますが、最も悲観的な予測では、今後COVID-19の影響によりさらに4900万人がこの状態に陥り、3000万人が職を失う可能性が示唆されています。

この問題に対しては、各国政府と開発パートナーとの戦略的な協調した多方面の政策レベルでの取り組みが重要であること、さらにCOVID-19後のさらなる問題に対して、より強固な経済を築いていくための取り組みが重要であることが強調されています。COVID-19後の経済回復やその後の経済の強靭性の向上のためには、農業生産性や労働生産性の向上にむけた政策提言の重要性が触れられており、取り上げられた複数の国でも農業が経済回復の原動力として期待されています。

アフリカでも農業のGDPに占める割合は徐々に低下していますが、未だ雇用の多く(東アフリカ70%2、西アフリカ42.7%3)をこのセクターに依存しています。また、COVID-19による世界的なバリューチェーンの混乱を受けて、自国での食料生産の安定化が重要な課題として再認識されています。

国際農研のプロジェクトの内、5つのプロジェクトがアフリカ8カ国で研究活動を行っており、農業の効率化や安定化のための研究を実施しています。COVID-19によって研究活動も制限を受けていますが、COVID-19後の農林水産業セクター強靭化のために、共同研究相手と密接に連絡をとりながら、アフリカの食料生産という大きな問題に取り組んでいきます。

(文責: 村中聡、生産環境・畜産領域)

 

参考文献:

1 African Economic Outlook 2020 - Supplement https://www.afdb.org/en/documents/african-economic-outlook-2020-supplement

2 East Africa Economic Outlook 2020 - Coping with the COVID-19 Pandemic https://www.afdb.org/en/documents/east-africa-economic-outlook-2020-coping-covid-19-pandemic

3 West Africa Economic Outlook 2020 - Coping with the COVID-19 Pandemic https://www.afdb.org/en/documents/west-africa-economic-outlook-2020-cop…

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