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84. 新型コロナウイルス・パンデミック―フードシステムを守り、健康的な食事を促すために

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栄養のための農業とフードシステムに関するグローバルパネル(The Global Panel on Agriculture and Food Systems for Nutrition)は、6月29日に最新のポリシーブリーフ、「新型コロナウイルス:フードシステムを守り健康的な食事を促す(COVID-19: safeguarding food systems and promoting healthy diets)」を発行しました。本グローバルパネルとは、栄養改善に積極的に関わっている国際的な指導者たちのグループで、低中所得国がエビデンスに基づいた栄養政策を立案するための手助けをしています。

新型コロナウイルス・パンデミック以前より、約30億人が既に不適切な食事をとっていました。今回の所得と消費の減少によってこの人数がどうなるかは今のところ不明ですが、かなりの増加が見込まれます。

このポリシーブリーフでは、新型コロナウイルスがこれまでフードシステムや人々の食生活に与えてきた深刻な影響に焦点を当てています。そして、フードシステムが機能し続け、現在の危機から迅速に回復し、そして将来に向けての強靭性と有効性が構築されるために必要な決断と行動とを示しています。

具体的には、消費者と食料供給に焦点を当て、新型コロナウイルスのフードシステムへの影響を緩和するために政策立案者が優先すべき10の行動を提示しています。消費者向けの行動としては、直近の必要な栄養素摂取量を満たすこと、食料価格の変動を監視し必要なときには介入すること、健康的な食事の必要性を周知すること、フェイクニュースを制御すること、が挙げられています。フードシステムを支えるための行動としては、貿易を継続すること、栄養価の高い地元産食品供給を推進すること、中小企業が生存できるよう守ること、長期的にみて有益な方法をとること、政策と行動の効果を都度評価すること、中期予測を注意深く観察すること、を挙げています。

フードシステムは、新型コロナウイルスに加え、温室効果ガスの排出源として、また気候変動や環境資源の劣化などの脅威にもさらされています。フードシステムが将来、より強靭性をもち、より包括的であるために、もう一度考え直す必要があるといえます。現在のパンデミックと経済危機は、フードシステムがその国でどうあるべきかを政策決定者が再考する機会を与えているとも考えられます。

環境にやさしくすべての人々に健康的な食事を届けることのできるフードシステムを持続させるために、食事、食品産業、農業慣行、貯蔵技術、規制制度、価格管理をどうやってより良いものにしていくかが重要な課題になってきます。自然環境やフードシステムを犠牲にするような短絡的な経済復興を避け、特に脆弱な人々に栄養のある食事を届けることを優先させる重要性にも言及しました。

 

参考文献

Global Panel on Agriculture and Food Systems for Nutrition, news release “COVID-19: Safeguarding food systems and promoting healthy diets”

https://www.glopan.org/covid-19-safeguarding-food-systems-and-promoting-healthy-diets/

Accessed on July 7

 

(文責:研究戦略室 白鳥佐紀子)