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89. 国連環境計画&国際家畜研究所:次のパンデミックを予防せよ ― 人獣共通感染症の感染経路を断つために

 

2020年7月、国連環境計画(UNEP)と国際家畜研究所(ILRI)は、「次のパンデミックを予防せよ―人獣共通感染症の感染経路を断つためにPreventing the Next Pandemic: Zoonotic diseases and how to break the chain of transmission」報告書を公表しました。

報告書は、人獣共通感染症の出現を高める7つのトレンド ー 動物タンパク質への需要増、非持続的で集約的な農業、野生動物の利用・開発の増加、気候変動、を含む ― を挙げます。アフリカはエボラをはじめ、とりわけ人獣共通感染症を数多く経験・対応してきており、将来のアウトブレークを鎮圧する上で重要な教訓を与えてくれます。

毎年、主に低・中所得国における200万の人々がほとんど注目を浴びることのない人獣共通感染症によって命を落としています。同様のアウトブレークは、途上国における家畜の病気、死亡、生産性喪失をもたらす可能性があり、貧困におかれた小規模農民にとって大きな問題です。単独で次の数年間に9兆億ドルの被害が見積もられているCOVID-19を含めずに、過去20年間だけでも人獣共通感染症は1000憶ドル以上の経済損失をもたらしてきました。

人獣共通感染症の発現は地球上のいたるところで増加していますが、アフリカでは、アウトブレークにいたらずに済んだケースもあり、その経験を人類・動物・環境の健康を維持する教訓として活かすべきです。アフリカ大陸は、世界でも最後の手つかずの熱帯雨林や野生の生態系を抱えています。アフリカはまた、世界で最も急速な人口増加を経験しており、家畜と野生動物の接触可能性は上昇し、人獣共通感染症のリスクは高まります。

報告書の著書らは、公衆衛生・獣医学・環境専門家が手を合わせるOne Health Approachを推奨します。

報告書は、フランス生物学者のルイ・パスツールが、人獣共通感染症である狂犬病へのワクチンを最初に実施した1885年7月6日である世界人獣共通感染症デイ、に公表されました。

 

参考文献

United Nations Environment Programme and International Livestock Research Institute (2020). Preventing the Next Pandemic: Zoonotic diseases and how to break the chain of transmission. Nairobi, Kenya.

https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/32316/ZP.pdf?sequ… https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/32860/ZPKMEN.pdf?…

UNEP Unite human, animal and environmental health to prevent the next pandemic – UN Report. Press Release, July 6 2020. https://www.unenvironment.org/news-and-stories/press-release/unite-huma…

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)