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251. COVID-19パンデミック宣言から1年

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2021年3月11日は東日本大震災から10年目、また世界保健機関(WHO)がCOVID-19をパンデミックと宣言した日から1年目にあたります。 コロナ禍により多くの人命が失われただけでなく、感染拡大を抑制するための移動規制措置は、我々の生活、仕事、移動、社会関係に地殻変動的なシフトをもたらしました。   

これらの変化は人為的な温室効果ガス排出を一時的に削減したものの、その中長期的な影響は限定的で、2050年までの温暖化を0.01℃ほど削減する程度の効果しかなく、世界がパリ協定の2℃、1.5℃ゴールを達成するには程遠い状況です。 各国は11月に開催予定のグラスゴーCOP26に向けて、野心的な気候変動緩和策を見直す必要性があります。 

2015年の時点で、グローバル・フードシステムからの温室効果ガス排出は二酸化炭素換算で毎年18ギガトン、全温室効果ガス排出の34%を占めました。このうち、71%が農業と土地利用・土地利用変化由来であり、残りは小売り・輸送・消費・燃料生産・廃棄物管理・産業過程やパッケージングなどサプライチェーン活動によるものです。 


昨年10 月、日本は、「2050 年カーボンニュートラル」を宣言しました。温暖化への対応を、経済成長の制約とする時代は終わり、国際的にも成長の機会と捉える時代に突入したという考えです。 国際農研は、宣言でも技術例として挙げられている、メタン・N2O排出の削減、森林及び農地海洋における炭素貯蔵技術、持続可能な食料システム構築、といった技術開発を、開発途上国の現場でパートナーとともに行うことで、カーボンニュートラルに向けた地球規模課題の解決のための科学技術外交に貢献しています。

 

参考文献

Nature. Editorial. A year in the making. Nat. Clim. Chang. 11, 179 (2021). https://doi.org/10.1038/s41558-021-01010-z

Food systems are responsible for a third of global anthropogenic GHG emissions, Nature Food (2021). DOI: 10.1038/s43016-021-00225-9 , dx.doi.org/10.1038/s43016-021-00225-9

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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