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194. 2020年温室効果ガス排出量とパリ協定へ向けた現実

 

2020年12月11日、二酸化炭素の動向・データを分析しているGlobal Carbon Budgetチームにより、COVID-19による世界的なロックダウンにより、化石燃料由来の二酸化炭素排出量が劇的に減少したことが報告されました。この現象はこれまで経験した削減よりも大きく、2020年の化石燃料由来の二酸化炭素排出は2019年よりも7%低い水準になりそうです。にもかかわらず、2020年にも大気中の二酸化炭素水準は上昇し続け、産業革命以前の水準よりも48%高水準に達しそうです。2019年に記録的水準に達した森林破壊やその他土地利用変化に伴う温室効果ガス排出は、2020年は過去10年間と同程度の水準に留まるとされています。土地利用の管理の向上は森林破壊を止め、再成長による二酸化炭素貯留の増加に貢献することが可能であり、早急のアクションが必要です。

国連環境計画(UNEP)は、2020年Emissions Gap Reportにおいて、2020年、COVID-19により温室効果ガス排出が一時的に削減されたものの、7%の削減は2050年までの温暖化を0.01℃ほど削減する程度の効果しかなく、世界がパリ協定の2℃、1.5℃ゴールを達成するには程遠いとしました。パリ協定を満たすには、2℃なら3倍、1.5℃なら5倍のコミットメントが必要となります。世界の温室効果ガス排出の51%に責任を持つ126か国が2020年中に今世紀半ばまでに実質ゼロ排出を検討し、日本を含む多くの国がコミットメントを表明しました。もしアメリカが2050年までの実質ゼロ方針を採択すれば、その排出シェアは63%にまでなります。他方、実質ゼロ表明は素晴らしいものの、野心的なゴールと国別戦略NDCsでの水準には大きな乖離があり、目標に見合うNDCs見直しが必要です。

国際農研は、国際ネットワークや開発途上国のパートナーとともに、農業分野における温室効果ガス排出を抑制する技術の開発にも取り組んでいます。

参考文献

UNEP www.unenvironment.org/emissions-gap-report-2020

Earth System Science Data, DOI: 10.5194/essd-12-3269-2020 https://essd.copernicus.org/articles/12/3269/2020/

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)