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729. 2022年世界における温室効果ガス排出

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729. 2022年世界における温室効果ガス排出

本日の記事は、エネルギー分野の温室効果ガス排出についての話題を提供します。

3月2日、国際エネルギー機関(IEA)は、2022年のエネルギー関連の二酸化炭素排出量についての報告書を発表しました。

世界の二酸化炭素排出量は、前年から0.9%増加し、368億トンと史上最高値を記録しました。一方、世界的なエネルギー危機のもとで石炭・石油の使用量が増加したインパクトを、太陽光・風力発電やエネルギー利用効率向上といったクリーンエネルギー部門の成長が相殺したことで、前年からの伸び率は当初懸念されたよりは抑制されました。

温室効果ガス排出が前年比で6%増を記録した2021年に比べ、2022年の伸び率は0.9%と、世界経済成長率の3.2%と比べても緩やかで、COVID危機後の経済活動のリバウンドによる急激な排出増により一旦中断された排出削減の方向が、リバウンド以前の状況に戻りつつあることを示唆しています。実際、世界的なエネルギー危機でアジアや欧州においてガスから石炭への転換が進み、石炭からの排出は1.6%増加しましたが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う天然ガス供給制約のもとで欧州企業や市民が節約につとめたことも受け、天然ガスからの排出1.6%の減少が石炭排出の増加分を相殺しました。石油からの排出は2.5%増加、うち半分はパンデミック後に回復しつつある航空セクターからの上昇によるものでした。報告書は、クリーンエネルギー技術の適用が増加することで排出の一部は相殺されたものの、温室効果ガスの排出は長期的には非持続的なトレンドをとっており、クリーンエネルギーへの転換のさらなる加速を呼びかけました。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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