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495. 将来のパンデミックを回避するための食料システムを目指して

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495. 将来のパンデミックを回避するための食料システムを目指して

本日3月11日は、東日本大震災から11年目になりますが、2020年に世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症のパンデミックを宣言してから丸二年目でもあります。

パンデミックは、非常に大きなコストを伴うことは明らかです。その原因となる人獣共通感染症の発症を抑える予防の方が効果的です。エボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)、西ナイル熱、リフトバレー熱は、動物を宿主として人類に拡散しましたが、人為的な経済活動の圧力が人獣共通感染症の発現の頻度を高めています。COVID-19パンデミック以前に既に過去20年間に人獣共通感染症のコストは1000億ドルにのぼるとされ、COVID-19のコストはそれを遥かに上回ると考えられています。

研究者は、人類に影響を与える感染症の60%が人獣共通感染症由来であるとも推計しています。人獣共通感染症の発現の増加をもたらす要因には、動物タンパク質への需要増、非持続的な農業慣行の増加、野生動物の搾取、そして気候危機が含まれます。したがって、パンデミック・人獣共通感染症の予防には、生物多様性喪失・土地利用変化の最大要因である食料システムのモニタリング、生物多様性の喪失や生態系の破壊に拠らない食料安全保障のための持続的な土地利用慣行への誘因提供、農業と野生動物の持続的共存を可能とする持続的な土地・海洋管理法、等が必要となります。とりわけ、動物、環境の衛生に関する分野横断的な課題に対し、関係者が連携してその解決に向けて取り組むOne Health アプローチが必要となります。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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