現地の動き

Pick Up

510. 安易に翻訳尺度を使用することに対する警鐘

開発援助の分野では、行動変容をもたらす心理学研究への注目が高まっています。農業技術の普及には、対象となる農家が、従来の行動を変えて、新たな技術に移行するプロセスが必要となるためです。国際農研がマダガスカルで実施しているプロジェクトでも農業技術を効率的に普及させるための心理学研究に取り組み、高所得国で広く用いられるリッカート法という心理検査尺度が、マダガスカルの貧しい農家には適用できないことを明らかにし、マダガスカルで個人差を測定する新たな尺度開発に成功しました。本成果は、日本心理学会の広報誌にも取り上げられるなど、今後、研究の発展が予想される途上国の農村地域を対象とした妥当な心理測定に役立つことが期待されています。
Pick Up

509. 新年度における国際農研プロジェクトのアップデート

国際農研の強みは、一方で現地の農業研究・政策・開発機関との連携による現場ニーズに基づくボトムアップ型の課題把握・解決アプローチの提案、もう一方で国際農業研究・政策・開発パートナーとの連携を通じた地球規模課題解決に向けた情報発信、にあります。本日から令和4年新年度を開始するにあたり、従来の業務における国際農研の強みをさらに発揮するため、このたび、アフリカ及びアジアモンスーン地域を対象としたプロジェクトを一部再編・新たに開始することになりました。
Pick Up

508. 持続的なイネいもち病抵抗性品種の育成に向けた圃場抵抗性遺伝子の特徴を解明

植物は病原菌や害虫の攻撃から身を守るために独自の防御システムを発達させています。植物の抵抗性の中でも、圃場抵抗性は発病を許すがその程度を低く抑える抵抗性で、幅広い菌株に有効であり、他の防除法と組み合わせる環境保全型の病害防除技術としての利用が期待されています。このたび国際誌Phytofrontiersに公表された研究では、イネの生産を脅かす重大な病害の一つであるイネいもち病にかかりやすい系統に6つの代表的な圃場抵抗性遺伝子を1種類ずつ導入した系統を新たに開発し、圃場抵抗性遺伝子がどのような効果(特徴)を持つのかを明らかにしました。
Pick Up

507. 南部アフリカにおける家畜生産性向上に向けた栄養豊富なマメ科木本植物の活用

南部アフリカに位置するモザンビーク等では、特に乾季に反芻家畜の飼料の量とともに、タンパク質等が不足して生産性が低下します。そこでマメ科木本植物の主に葉部について、ネピアグラスまたはトウモロコシ茎葉部と混合したサイレージを調製し、それらの微生物共生ネットワークとサイレージ発酵特性を調査して、飼料としての活用法を検討しました。その結果、トウモロコシ茎葉部との組み合わせによるサイレージが高品質であり、微生物コミュニティと代謝経路が改善されました。この方法により、乾季における家畜生産性向上が期待できます。
Pick Up

506. Fy Varyプロジェクト プロモーションビデオ公開

国際農研がマダガスカルと共同で実施しているFyVaryプロジェクトのプロモーションビデオがYouTubeで公開されました。
Pick Up

505. 世界の発酵食をフィールドワークする

農山漁村文化協会から発刊された書籍「世界の発酵食をフィールドワークする」(横山 智 編著)では、国際農研が実施したラオス淡水魚発酵調味料の品質向上の取り組みを含め、世界各地で作られる発酵食をテーマに、人文科学系と自然科学系の研究者がフィールドワークを実践し、発酵食をつくり利用する人間の営み、地域の食文化における発酵食の位置づけ、発酵食と社会との関係を明らかにしています。2022年3月22日(火)から9月24日(土)までは、同名の特別展が名古屋大学博物館で開催されます。
Pick Up

504. 気候変動の影響を受けるハイガイ養殖

二枚貝であるハイガイは体液にヘモグロビンを含む赤貝類の一種で、大きいものは殻長が5 cm位にまで成長します。本種は東南アジア諸国で食用として一般的で、養殖対象にもなっています。その養殖方法は、マングローブ林や泥干潟が形成される河口域とその周辺の浅海域を主な漁場として稚貝を移植して行う地まき式養殖です。本稿では雨季にタイの地まき式養殖漁場で発生したハイガイの大量死の事例を紹介し、ハイガイ養殖の安定化策を考えます。
Pick Up

503. 過去50年間の気候変動により熱帯雨林樹木の成長や水利用効率が変化した

地球規模の気候変動は、森林を構成する樹木の分布や成長速度、炭素固定量等に大きな影響を与えている可能性があります。特に熱帯雨林は樹木が巨大で大量の炭素が貯蔵されているため気候変動の影響を正確に予測することは重要です。しかし、一年を通して高温多雨で気候に季節性の無い熱帯雨林では、年輪から長期的な成長量を求めることは困難とされてきました。このたび国際誌「Methods in Ecology and Evolution」に公表された研究では、マレーシアの熱帯雨林の樹木の材に含まれる放射性炭素同位体濃度から過去の成長量を高精度に特定する新しい技術を確立しました。
Pick Up

502. 国際農研ホームページのリニューアル

2022年3月22日(火)より国際農研ホームページのトップページをリニューアルしました。今回のリニューアルでは、より見やすく、使いやすく、視覚的に情報を伝えることができるようなトップページを目指して、デザインやメニュー構成を見直しました。
Pick Up

501. 世界水の日:安全な地下水のための肥培管理技術の開発

3月22日は世界水の日(World water day)で、世界の様々な国で水の大切さの啓発を行う日とされています。今年のテーマは「地下水」です。世界の子どもの5人に1人が、日々の生活に必要な水を十分に得られていません。途上国農村では、飲料用の井戸水に窒素肥料を起源とした高濃度の硝酸態窒素が含まれることで、人々の健康を害するおそれがあります。安全な飲料水を供給するインフラ整備の必要性とともに、畑の窒素肥料の利用効率を高め、地下水の硝酸態窒素濃度を低下させる取り組みが求められます。
Pick Up

500. より良い世界に向けて-持続可能な開発目標13

2020年3月8日に始めたPick Upも今回で500記事目となりました。そんな今日は、気候変動に関する持続可能な開発目標(SDG 13)に関する世界の様々な教育やイノベーションの取り組みを特集した人間開発フォーラム発行の「A Better World 」を取り上げます。本書では、国際農研・環境プログラムがアジアモンスーン地域を中心に行っている気候変動に関する研究課題も紹介されています。 
Pick Up

499. イネいもち病に対する判別システムの普及と利用

糸状菌(カビ)の一種が原因のいもち病は、熱帯から温帯までのイネが栽培される全ての地域で発生します。いもち病害は、単一品種が広域な範囲で、繰り返して利用されること(モノカルチャー)により、その特定の抵抗性を持った品種に感染可能な優占菌レースが発生し、冷害のようなイネの生育時期の低温、肥料の過剰施用等により誘発されます。温帯地域ばかりでなく、アフリカやアジアの熱帯地域でも被害の報告が多くなってきています。特に経済的に貧しい開発途上地域における稲作においては、多様性を生かした品種の育成や栽培方法の開発が、今後重要になってきます。
Pick Up

498. コメ生産増加およびマラリアの撲滅の同時達成には農業分野と保健分野による協力が必要

マラリアはマラリア原虫をもった蚊に刺されることで感染する病気で、依然として世界で最も重大な感染症の一つです。アフリカの多くの地域では、外来診療所の受診や小児病棟への入院で最も多い理由がマラリアです。一方で、稲はアフリカで最も急速に拡大している作物で、コメ需要の増加予測のもと、多くのアフリカ諸国は生産拡大を目指しています。Lancet Planetary Healthに発表された研究は水稲栽培とマラリア感染の関係性についてメタ分析を行い、コメの生産増加およびマラリアの撲滅という2つの開発目標の同時達成には農業分野と保健分野による協力が必要であることを示しました。
Pick Up

497. ほとんど分かっていなかったカンボジアの海面小規模漁業を解明する

2022年は零細漁業と養殖の国際年と定められています。小規模な漁業・養殖業従事者の振興のための実態把握は極めて重要です。しかし、漁業管理の基礎データとなる漁獲統計は、途上国においては大規模漁業で漁獲された限られた種類のサンプルデータであることが多く、小規模海面漁業の漁獲量や操業実態はほとんど分かっていません。カンボジアの海面小規模漁業は多くの漁家によって営まれていることから、カンボジア政府の協力を得て、東海大学と国際農研でその実態を分析しました。
Pick Up

496. 「国際森林の日」と熱帯島嶼における森林利用

一週間後の3月21日は「国際森林の日」です。今年のテーマは「森林と持続的生産・消費」です。森林は単に木材を生産するだけではなく、水土保全や気候変動緩和などの公益的機能を発揮し、果実やキノコなどの非木材林産物を生産する地域住民にとって重要な生活の場でもあります。我々国際農研は、森林のある山地において小規模農家の生業維持と水土保全機能向上の両立につながる持続的資源利用について研究を行っています。
Pick Up

495. 将来のパンデミックを回避するための食料システムを目指して

2020年に世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症のパンデミックを宣言してから丸二年が経ちます。パンデミックは、非常に大きなコストを伴い、その原因となる人獣共通感染症の発症を抑える予防の方が効果的です。パンデミック・人獣共通感染症の予防には、生物多様性喪失・土地利用変化の最大要因である食料システムのモニタリングが必要となります。

Pick Up

494. 土地利用の持続性に関する10のファクト

土地利用は、生物多様性保全、気候変動、食料安全保障、貧困削減、持続的なエネルギーなど、様々な側面から持続性に絡んできます。社会―生態学的な土地利用システムに関する知見は、土地利用の問題を持続的に解決する上で重要な役割を果たします。2022年2月、PNAS誌で、文献レビューに基づき、土地利用の持続性に関する10のファクトをとりまとめた論文が公表されました。
Pick Up

493. 雑穀の日

3月9日は『雑穀の日』です。雑穀はイネ科作物のうち、小さい穎果をつけるヒエ、アワ、キビなどの総称です。今日のPick Upで雑穀について学びましょう。
Pick Up

492. 農地面積は21世紀に加速度的に拡大

2022年1月、国際誌Nature Foodにて公表された論文は、衛星データを用い、21世紀来、農地面積は加速度的に拡大している事を示しました。新しくできた農地面積の半分は自然の植生や樹木からで、森林減少と自然生息地の劣化を阻止するというSDGs目標15(陸の豊かさも守ろう)との矛盾を示しています。
Pick Up

491. 肥満と食料システム

先日の3月4日は「世界肥満デー」でした。過体重と肥満は健康へのリスクを抱えている状態を指し、2017年時点で、毎年400万人を超える人々が過体重あるいは肥満を原因として亡くなっていると推計されています。かつては高所得国だけに見られた問題でしたが、近年では低・中所得国でも、とりわけ都市部で増加傾向にあります。過体重・肥満の原因となる食生活をめぐる食料システムの在り方を抜本的に見直す必要性があります。