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1138. 世界食料需給の見通し

1138. 世界食料需給の見通し
農業の中長期的な課題として、我が国では、後継者や労働者の不足、農地維持の困難、環境負荷の拡大、気候変動による災害の増加などが挙げられます。また、海外に目を向けると、中東、東欧など各地で紛争が多発し、安定した農産物の生産が困難になりつつあります。
これらの様々な課題の解決に向け、労働力の不足と農地維持の問題に対しては、農地集積の上での精密農業の実施、環境負荷の拡大に対しては、減農薬農法の導入などの対策が講じられています。一方、気候変動による干ばつや洪水の増加には、農家は無力です。さらに、昔と異なり、農業貿易が盛んに行われているため、ある国の農産物の生産量が気象災害や紛争により減少すれば価格が高騰し、逆に豊作となれば価格が下落する等、価格変動の影響はその国内に限らず広く波及し、世界各地で農家経営の不安定化などを引き起こします。
このような中、様々な課題の解決策を効果的に進めるためには、中長期において、各国の農産物生産量や供給量、価格がどのような傾向となるのか、見通しを持つことは非常に重要です。
米国農務省では、米国の農産物市場を中心に中長期的な世界食料需給見通しを公表しています。今回、その見通しを作成してきた、第一線の行政官・研究者のお二人を招待し、セミナーを開催することとなりました。
「米国農務省及びIFPRIによる世界食料需給見通し」
日時:令和6年12月4日(水曜日)14時00分~17時00分
開催方法:Web開催(Zoomによるオンライン配信、参加費無料)
講師:
セス・メイヤー 氏(米国農務省 チーフエコノミスト)
キース・ウィーブ 氏 (国際食糧政策研究所 シニア・リサーチ・フェロー)
参加申し込みページ: https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_ymw8c3TTSnuHpULb8VAUmQ
講演者のセス・メイヤー氏は、米国農務省の首席エコノミストであり、米国農務省の経済・政策関連の調査・分析の中心的存在です。彼が長を務める、首席エコノミスト室は、農業に影響を与える、現在および新たな問題について、正確な情報とデータに基づいた分析を提供することにより、官民の意思決定者に情報を提供することを目的としています。
もう一人の講演者のキース・ウィーブ氏は、ワシントンDCに所在し、国際農業研究協議グループ(CGIAR)の一つである国際食糧政策研究所の上席研究員であり、予見・政策モデリングユニット長です。彼らが分析に用いている世界食料モデルIMPACTの原型は、国際農研の世界食料モデルIFPSIMと同一です。そのモデルを用い、気候変動の影響評価を行っています。
お二方には、10年程度の中期、あるいはさらに20年程度の長期の食料需給見通しについてお話いただき、参加者の方々との質疑応答を通して、今後の世界の食料需給について理解を深めたいと思います。
(文責:社会科学領域 古家 淳)