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1139. レジリエント作物開発のための多様な遺伝資源の役割

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1139. レジリエント作物開発のための多様な遺伝資源の役割

 

1960年代、アメリカの生物学者ノーマン・ボーローグ博士は、半矮性の小麦を選択的に育種することにより、緑の革命として知られる農業革新の時代をもたらすことに貢献、この業績で後年ノーベル平和賞を受賞しました。アジアでは、フィリピンに本拠を置く国際稲研究所(IRRI)がコメで同様の成功を収めました。1990年代までに、主要穀物の収穫量は倍増し、世界人口増加によってさらに深刻な飢饉が訪れるという悲惨な未来はもう来ないように思われました。 

しかし21世紀現在、気候変動が作物の成長と農業生産性に悪影響を及ぼすことが懸念される中、世界の食料と栄養の安全保障を維持する上で、気候変動の負の影響に対しレジリエントな作物開発の必要性がこれまで以上に高まっています。

このような作物開発を可能にするプラントエンジニアリングは急速に展開しているとのことですが、レジリエントな食料システム構築において、まずは作物遺伝資源の多様性保全が早急に求められています。具体的には、気温変動・干ばつや洪水・不良環境・病害虫といった多くの非生物・生物的ストレスへの耐性、同時に、効率的な水・肥料利用を可能にする形質、など、気候にスマートな作物開発に必要な、多様な作物遺伝資源の保全・利用の必要性がこれまで以上に高まっています。

 

来週11月22日のJIRCAS国際シンポジウム2024では、地球沸騰化時代におけるレジリエント遺伝資源の果たす役割について議論します。

JIRCAS国際シンポジウム2024
地球沸騰化時代におけるレジリエント遺伝資源の機会と課題

開催日       2024年11月22日(金) 13:30~17:30 (13:00受付開始)
場所          ハイブリッド(国連大学ウ・タント国際会議場およびオンライン)
特設サイト  https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2024/e20241122_jircas


(参考文献)
Bailey-Serres, J., Parker, J.E., Ainsworth, E.A. et al. Genetic strategies for improving crop yields. Nature 575, 109–118 (2019). https://doi.org/10.1038/s41586-019-1679-0

Yoselin Benitez-Alfonso, et al. Enhancing climate change resilience in agricultural crops, Current Biology, Volume 33, Issue 23, 2023, Pages R1246-R1261, https://doi.org/10.1016/j.cub.2023.10.028

Bill Gourgey Green Revolution redux Have we entered the golden age of plant engineering? MIT Technology Review https://www.technologyreview.com/2024/10/23/1105291/green-revolution-pl…;


(文責:JIRCAS国際シンポジウム2024 実行委員会)
 

 

 

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