Pick Up
1136. 2024年10月 世界食料価格動向
1136. 2024年10月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、11月8日、世界食料価格動向を公表しました。2024年10月の値は平均127.4ポイントで、9月から2%上昇、2023年4月以来の水準を記録しました。食肉価格指数を除くすべての商品価格指数が上昇し、油糧作物価格指数の上げ幅は7.3%に達しました。この数値は昨年よりも5.5%高いものの、2022年3月の史上最高値よりは20.5%低い値でした。
穀物価格指数は10月に114.ポイントと、前月比で0.8%上昇、しかし前年比ででは8.3%低い水準でした。世界小麦輸出価格は2か月連続で上昇、EU・ロシア・アメリカを含む主要輸出国における冬小麦への悪天候への懸念を反映しました。さらにロシアにおける非公式な価格下限規制の再導入や黒海地域の緊張が価格上昇圧力となりました。世界メイズ価格は、ブラジルの国内需要や河川水量の低下による輸送への懸念を反映して上昇基調を続けました。アルゼンチンでの水不足やウクライナ産メイズへの堅調な需要も価格上昇を後押ししています。一方、コメ価格指数は5.6%下落、インドの非粗悪米に対する輸出規制撤回を受けたインディカ米の輸出競争を反映しました。
植物油価格指数は前月比で7.3%上昇し、2年ぶりの高値となりました。価格上昇は、パーム・ダイズ・ヒマワリ・ナタネ価格指数の上昇を反映しました。国際パームオイル価格の上昇は5か月連続で、東南アジアにおける季節的な産出減に重なり生産が予想以下であったことを受けました。大豆価格は代替的な油糧作物の供給制約を受けて堅調に推移し、ヒマワリ・ナタネとも、2024・25期の生産減見込みに続く、供給引き締め見込みを受け、上昇しました。
砂糖価格は10月に前月比で2.6%上昇しましたが、1年前よりもまだ18.6%低い価格にとどまっています。10月の上昇の背景には、2024・25年期の供給ひっ迫に対する懸念があります。ブラジルにおける不作見通しに加え、国際的な原油高のもとサトウキビをエタノール生産に振り向けたことが背景にあります。一方、米ドルに対するブラジル・レアルの通貨安と10月末のブラジル南部における降雨が、世界砂糖価格の急騰への抑止力となりました。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)