現地の動き

現地の動きから検索

Pick Up

339. 2021年6-7月、北半球で観察される極端気象現象

2021年6-7月、北半球の各地域で極端な異常気象が観察されています。米国北西部・カナダ西部は、6月末から熱波に襲われ、40℃を超える史上最高気温を更新しています。一方、欧州では7月にはいり、100年に1度と言われる豪雨による洪水が人的・物的被害をもたらしています。極端気象の直接の原因については分析が待たれますが、専門家は気候変動の影響を指摘しています。2021年は、第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)や国連食料システムサミットなどの多くの国際的イニシアチブが予定されており、異常気象の頻発による最悪のインパクトを回避するために各国がコミットメントをとれるかどうかの成否を分ける年とされています。
Pick Up

338. グローバルフードシステム

昨年から続くCOVID-19パンデミックにより、世界の食料システムは多大な影響を受けています。国連は今年の9月に国連食料システムサミットを主催する前に、7月26日から3日間、イタリアのローマで開催するプレサミットにて持続可能な食料システムについての議論を行います。これまでもPick Upでグローバルフードシステムを巡る話題について取り上げてきましたが、プレサミットを前に今一度整理をしたいと思います。
Pick Up

337. 環境に優しくお米の収量も増える夢の技術

近年、温室効果ガスの排出削減の話題が巷を賑わせています。農業分野において、実は牛のげっぷが1番の温室効果ガスの排出源(GHG)なのですが、水田もまたGHGの大きな発生源です。これは、田んぼに水を張ることで土の中の酸素が少なくなり、土中の微生物がメタンガスを作るのが原因です。国際農研は、千葉大学、ベトナム・カントー大学と共同で、メコンデルタの水田にGHG排出量を減らす間断灌漑技術を試みたところ、灌漑の水量と温室効果ガス排出を削減し、水稲の収量も増加できることを明らかにしました。
Pick Up

336. 報告書「2021年世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」:飢餓人口は昨年より1億1800万人増加

7月12日、「世界の食料安全保障と栄養の現状(The State of Food Security and Nutrition in the World Report: SOFI)」の2021年版が発行されました。報告書によると、コロナ感染症の影響を受け、世界の飢餓人口は2019年から2020年の1年で1億1800万人増加しました。こうした最新の国際情勢を知る機会は非常に重要です。その一環として、本日7月14日(水)日本時間15:00 – 16:30、国際連合食糧農業機関(FAO)の駐日連絡事務所主催、国際農研協力により、ウェビナー「OECD-FAO 農業アウトルック報告書 出版記念イベント」を開催します。
Pick Up

335. 有機資材を活用して、マダガスカル稲作の低生産性を克服する

作物の生育には窒素やリンをはじめ10種類以上の土壌養分が必要とされ、一回の収穫ごとに使われた養分を補い続ける必要があります。開発途上国の小規模農業セクターは、化学肥料としてのリンを補充する余裕がなく、結果として土壌がやせ、慢性的な低生産に陥っています。国際農研では、化学肥料の代わりとして、農家が使える有機資材を有効活用するための肥培管理技術の開発に取り組むことで、マダガスカルを含むアフリカの貧栄養土壌におけるコメの安定生産に貢献することを目指しています。
Pick Up

334. 農村開発の再考

2021年5月、国連の経済社会局(UNDESA)より、World Social Report 2021が公表されました。今年のテーマは「農村開発の再考 Reconsidering Rural Development」です。世界において極度の貧困に直面している5人のうち4人が農村に住んでいるとされています。報告書は、農村の誰一人も取り残さない開発として、地球環境保全や技術革新、国ごとの状況を十分に踏まえた農村開発の方向性を述べています。国際農研では農村開発への取組として、農村を舞台に、農村の人々とともに環境保全や農業生産性と生活水準の向上をめざすアクションリサーチ型の研究を数多く行っています。
Pick Up

333. 7月11日は世界人口デー

1987年の7月11日に世界の人口が50億人を超えたことから、1990年に国連総会で国際デーとして決議されました。2021年の世界人口は78億7500万人。2030年に85億人、2050年には97億人、2100年には109億人に達すると予測されています。本文では人口上位15カ国の推移が動画として見ることができます。
Pick Up

332. 食料システム転換のための科学・技術・イノベーションの役割

2021年9月、国連食料システムサミット(UN Food Systems Summit: UNFSS)が予定されています。効率的でありながら誰も取り残さず、ショックに対する強靭性を有し、かつ持続的なフードシステムの構築に成功するか否かは、フードシステムの多様性に配慮しながら、科学・技術・イノベーション(science, technology and innovation)を活用できるかにかかっています。科学グループが主催する「サイエンス・デイ」が本日7月8日から二日にわたって開催され、食料システム転換における科学・技術・イノベーションの役割について議論されます。
Pick Up

331. 養分供給力に乏しい土壌を克服する稲作技術 

昨今の気候変動対策をめぐる議論では、食料生産における化学肥料の非有効利用が温室効果ガス排出に貢献していることが問題視されています。他方、アフリカなどの途上国地域における風化土壌では、化学肥料の効果が出にくく、農民による過小施用が低生産性の原因になってきました。開発途上国地域では、現場の土壌に合わせた作物品種開発と施肥方法の工夫を通じ、なるべく少ない化学肥料使用で高い収量達成を可能にする、言い換えると収量向上と環境配慮を両立させうる技術の開発が求められています。
Pick Up

330. 持続可能な開発報告書2021:SDGs進捗がはじめて逆転

国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)は6月、持続可能な開発報告書2021(Sustainable Development Report 2021)を刊行しました。新型コロナの影響を受け、世界的に2015年のSDGs合意以来はじめて、SDGs達成に向けた進捗が後退しました。パンデミックに限らず気候変動や生物多様性の危機など地球規模課題に立ち向かうためには、強力な多国間システムが必要だと説いています。
Pick Up

329. OECD-FAO農業アウトルック報告書 出版記念イベント

食料農業を専門とする国連機関FAOの駐日連絡事務所が主催する「OECD-FAO 農業見通し報告書」出版記念イベントを7月14日にオンライン開催いたします。世界の農産物市場の動向分析に基づいた今後の展望について執筆者がライブ講演し、世界の食料安全保障を維持するために必要な戦略的な政策・科学技術分野について議論します。申込リンクの方を開設いたしました。是非ふるってご参加ください。

Pick Up

328. 雑魚(ざこ)の重要性

2021年世界食糧賞(World Food Prize)を受賞したShakuntala Haraksingh Thilsted博士は、バングラデシュ農村部における商業的な養魚システムに地域在来の小魚の養魚を導入し、またそれに関連するフードシステムの転換を促すことで住民の食料増産・微量栄養素の摂取量などの増加および生計向上に大きく貢献されました。実際、世界の開発途上国・地域では、動物タンパク質や微量栄養素の摂取不足に起因する健康問題が強く懸念されています。国際農研では、食料プログラムの「熱帯水産養殖」プロジェクトにおいて、熱帯地方農村部の栄養不足改善のための小型在来魚類増養殖および活用技術開発に取り組んでいます。
Pick Up

327. 第9回太平洋・島サミット(PALM9)と熱帯島嶼環境保全

2021年7月2日に、第9回太平洋・島サミット(PALM9)がオンラインで開催されます。日本も島嶼国で、山から海までが物質循環を通じて密接につながっています。森は海の恋人と言われるように、山や里の環境の悪化は海にも影響します。山から海までが短い距離で連続する島嶼では山里海が一体となった取り組みが非常に重要となります。2021年4月から始まった第5期中長期計画における熱帯島嶼環境保全プロジェクトでは、熱帯島嶼の山・里・海が一体となって、環境負荷軽減技術の開発と資源循環を行うことにより、山から海までの健全な物質循環の構築を目指しています。
Pick Up

326. 稲作農家を対象とした天候インデックス保険の設計 ‐東南アジア・デルタ地域農家の気候変動適応力向上を目指して

近年、気候変動の影響を受けてか、異常な大雨が頻発するようになり、多くの人的・経済的被害を伴うようになっています。このような気候変動による被害が食料供給に与える影響を軽減するために、様々な適応技術が開発されています。食料を確保し、農家の所得を安定させる作物保険は、気候変動への適応策の有力な候補となっています。
Pick Up

325. 7月14日(水)、OECD-FAO 農業見通し報告書に関するイベントを開催

毎年7月上旬に公表されるOECD-FAO Agricultural Outlook は、加盟国等から提供される情報に基づき、世界の農林水産業の統計分析に従事する精鋭の専門家集団が次の10年間における農産物市場の動向について最新の見地をとりまとめた報告書です。このたび、FAO駐日連絡事務所の主催、国際農研の協力により、7月14日(水)に国際農業市場動向に関心のある日本の視聴者の方々を対象に、報告書のメッセージを解説するイベントを同時通訳付きで開催いたします。プログラムの詳細や参加希望の申請方法につきましては、後日、FAO駐日連絡事務所や国際農研HPにてアナウンスする予定です。
Pick Up

324. 「国際熱帯デー」と国際農研 熱帯・島嶼研究拠点

明日、6月29日は国際熱帯デーです。国際熱帯デーにちなみ、石垣島にある国際農研の支所である熱帯・島嶼研究拠点についてご紹介します。石垣島の市民の皆様からは“熱研”の愛称で親しまれています。亜熱帯環境下にある国内唯一の農林水産省管轄の農業の研究機関である熱研は、その特異的な特徴を存分に活かしながら今後も、国内外の農業への貢献といった役割を担いながら、職員一丸となって研究を進めていきたいと考えています。
Pick Up

323. 食の真のコスト と真の価格

国連食料システムサミット(UNFSS)に向けて、科学者グループ(scientific group)が設置され、持続的で包括的で強靭なフードシステム構築という目的を達成するための科学・技術・イノベーションの役割について議論を行っています。科学者グループは、「食の真のコストと真の価格 The True Cost and Price of Food」という報告書を公表、現在の食料の価格は、健康や環境に配慮すれば本来支払うべきコストよりもずっと安いことを指摘し、健康維持と環境保護のコストを反映させた価格に是正するための仕組みづくりを提案しています。
Pick Up

322.温暖化のストライプ

2021年6月21日、世界の気象学者や気候学者が気候変動への緊急アクションの必要性を訴える目的で、各国の過去100年の平均気温の推移を示した「温暖化ストライプ」キャンペーンを実施したそうです。多くの国や地域において、ストライプは近年に近付くにつれ、気温上昇を反映して青から赤への変遷を示します。2021年は、干ばつ・洪水・嵐といった異常気象の頻発に代表される最悪のインパクトを回避するための気候変動のアクションの成否を分ける年とされています。

Pick Up

321. 国連食料システムサミット:フードシステム変革の優先順位と移行ステップ

今年9月に開催される国連食料システムサミット(UNFSS)に向けて、科学者グループ(scientific group)が設置されています。この科学者グループに対し、栄養のための農業とフードシステムに関するグローバルパネル(The Global Panel on Agriculture and Food Systems for Nutrition)は5月、「COVID-19とフードシステム:レジリエンス(強靭性)のための再構築」と、「フードシステム変革に必要な移行ステップ」の二つの概要を発表、フードシステム転換のために国際社会の様々な関係者がとるべきアクションを提言しました。
Pick Up

320. 食料システムからの温室効果ガス排出

農業は温室効果ガス排出を通じて気候変動の原因となると同時に、多大な影響を受ける経済セクターでもあります。2021年に予定されている国連食料システムサミットやCOP26(気候変動枠組条約締約国会議)では、各国によりフードシステムにおける気候変動緩和策の具体的な戦略に役立てるデータが求められます。Environmental Research Letters誌で公表された論文は、フードシステムからの温室効果ガス排出を出荷前・土地利用・生産前後の各段階で推計、人為的な温室効果ガス排出の約3分の1に相当し、1990年から2018年までに食料輸送やサプライチェーンでの化石燃料由来の排出がとくに増加したことを示しました。