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383. アジアモンスーン地域における持続的な食料システム実現に向けたイノベーション

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383. アジアモンスーン地域における持続的な食料システム実現に向けたイノベーション 

明日、2021年9月23日、国連食料システムサミットが開催され、地球と人類の健康に資する食料システム構築のための変革について議論される予定です。また11月には、第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)開催が予定され、産業革命以来の気温上昇を1.5℃に抑えるための温室効果ガス排出削減目標達成にむけて世界の動きが加速しています。

こうした国際的な動きを受け、各国は、農林水産業においても、食料の安定供給と環境持続性を両立するために、資源の循環利用、化学農薬・化学肥料の使用抑制等を通じた環境負荷の軽減を図り、カーボンニュートラルや生物多様性の保全・再生を促進し、災害や気候変動に強い食料システムを構築するためのイノベーションを推進するための戦略を打ち出しています。我が国では、農林水産省が2021年5月に『みどりの食料システム戦略』を策定し、食料生産性に影響を与えることなく、温室効果ガス排出等の環境負荷を軽減しうる技術開発の重要性を強調しました。 

地球規模課題の問題解決には、国内だけでなく、開発途上地域に対しても実現可能な技術オプションを示していくことが必要です。ただし万能なイノベーションは存在しません。現場ごとの環境・社会条件に応じて技術を適応し社会実装につなげる必要があります。それでも、似たような環境・社会条件を共有する地域間で、適応可能性あるイノベーションや社会実装の推進に関する知見を共有することで、地域・地球規模での食料栄養安全保障と気候変動対応達成を加速化することが期待されています。そのために、地域で活動する農業研究機関や開発機関が、生産性向上・持続性両立という共通の目標に向けて、それぞれの比較優位を活かした役割を果たしつつ、連携していくためのプラットフォームが求められています。

2021年8月に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書・第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)では、地域レベルでの気候変動の影響評価も示されており、地域レベルでのリスク評価や適応・緩和策の意思決定に活用されることが期待されています。 高温多雨条件を共有するアジアモンスーン地域に関しては、気候変動の影響は地域内また時間軸によるものの、長期的には南・東南アジアモンスーン地域および東アジア夏季モンスーンの降雨量が増加する(中度の信頼度)とされています。 

アジアモンスーン地域に位置する日本にとって、地域で活躍する農業研究・開発機関とのネットワークを通じ、農林水産業分野での科学技術イノベーションを推進することは極めて重要な意味を持ちます。 国際農研は毎年11月に国際シンポジウムを開催しておりますが、2021年は「アジアモンスーン地域における持続的な食料システム実現に向けたイノベーション」をテーマとし、『みどりの食料システム戦略』に資する国際連携に向けたプラットフォームの在り方について議論を行います。具体的には、農林水産業分野におけるアジアモンスーン地域・各国の農林水産業政策の動向などを理解しつつ、生産性向上と持続性の両立達成に貢献しうるイノベーションや技術開発ニーズを同定し、社会実装に必要な研究・政策・普及ステークホルダーの役割と連携メカニズムを提案します。

国際シンポジウムは、11月17日(水)にオンライン配信の形で実施されます。今後、プログラム・登壇者や参加登録等の情報につきましても、随時HPで告知・アップデートしていきます。ご視聴いただければ幸いです。


JIRCAS国際シンポジウム2021:アジアモンスーン地域における持続的な食料システム実現に向けたイノベーション ―「みどりの食料システム戦略」に資する国際連携に向けたプラットフォーム―

日時:2021年11月17日(水) 14:00~16:15

開催方式: オンライン (YouTube JIRCAS channelより配信)

プログラム詳細や参加方法後日、HPにて発表 
 
(文責:情報広報室 金森紀仁、情報プログラム 飯山みゆき)

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