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379. 国際社会は生物多様性保護に野心的な対策を

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379. 国際社会は生物多様性保護に野心的な対策を

IUCN(国際自然保護連合)主催の第7回世界自然保護会議は、9月3日(金)フランス・マルセイユにおいて、エマニュエル・マクロン大統領の演説とともに開幕し、11日(土)までの9日間開催されました。この会議は、IUCNの4年に1度の総会と、それに併せて行われる「世界自然保護フォーラム」で構成されています。今回、COVID-19パンデミックのため、初めて対面とオンラインのハイブリッド開催になりましたが、世界中から幅広い参加を可能にしました。

IUCNは1948年に設立された世界最大の国際的な自然保護団体で、国家・政府機関・NGOで構成されています。本部はスイスのグランにあり、170以上の国々から、国家会員、政府機関会員、非政府機関など1500人以上がメンバーとなっています。日本からは、環境省が1978年に政府機関会員として加盟。その他、外務省が1995年に国家会員として加盟しているほか、日本自然保護協会・日本動物園水族館協会・WWFジャパン・日本野鳥の会などの非政府団体も加盟しています。今回開催された世界自然保護会議は、自然保護の科学・政策・実践における国際的な専門家を含む世界の自然保護コミュニティが一堂に会する会議で、自然保護における最も差し迫った問題とそれに対処するための行動を決定する場です。

IUCNは動物、植物、菌類の地球規模での保全状況に関する包括的な情報として絶滅危惧種レッドリストを1964年から発表しています(https://www.iucnredlist.org/)。現在、38,500以上の種が絶滅の危機に瀕しており、評価対象の生物種の28%にも上っていると報告しています。生物多様性と政策の転換は、私たちの生存に必要な自然資源を守るためにも重要で、この会議で採択された決議には、COVID-19パンデミックによって明らかになった生物多様性と人間の福利の関連性を踏まえて、2025年までにアマゾンの80%を保護すること、地上および海洋の30%を保全対象とすること('30 by 30' target)、海洋における深海採掘を中止すること、国際社会が野心的なOne Healthアプローチを採用することなどが含まれています。

今回、会場には約6,000人、オンラインでは3,500人以上の参加者が登録し、政府、市民社会、先住民、民間企業、学界のリーダーたちが一堂に会し、最も差し迫った課題に取り組むための行動を決定するハイブリッドなイベントとなりました。また、25,000人以上の一般市民が、展示会場を訪れたとのことです。

生物多様性についてのまとめ
298. 国際生物多様性の日 -私たち自身が解決の鍵-
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20210521
352. 生物多様性の未来:2030年までに世界が取るべき行動指針
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20210809
239. フードシステムによる生物多様性喪失へのインパクト
https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20210223

(文責:情報広報室 金森紀仁)

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