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352. 生物多様性の未来:2030年までに世界が取るべき行動指針

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352. 生物多様性の未来:2030年までに世界が取るべき行動指針

2021年7月12日、国連生物多様性条約事務局(CBD)は、2030年までに世界が取るべき行動指針となる「グローバル生物多様性フレームワーク」の原案を発表しました。

このフレームワークでは、2010年に生物多様性条約締約国が採択したビジョン『自然との共生』を2050年までに実現するために、4つの最終目標を設定しています。

A)    すべての生態系が強化され、その面積、連結性、完全性が少なくとも15%増加し、絶滅の割合が少なくとも10倍減少し、種の絶滅のリスクが半減し、野生種および家畜種の遺伝的多様性が保護され、すべての種における遺伝的多様性が少なくとも90%維持される。

B)    持続可能な開発のための2030アジェンダを支える保全と持続可能な利用を通じて、自然からの恩恵が評価され、維持され、強化される。

C)    遺伝資源の利用から得られる利益が公正かつ公平に分配され、生物多様性の保全と持続可能な利用を含め、金銭的利益と非金銭的利益の両方が大幅に増加する。

D)    利用可能な資金やその他の実施手段と、2050年ビジョンの達成に必要なものとの間のギャップが解消される。

この目標に向けて、2030年に達成すべき10のマイルストーンと21のターゲットがフレームワークには含まれています。2030年までに世界が取るべき行動指針として、特に以下のことが求められています。

  • 世界の陸地および海域の少なくとも30%(生物多様性と人類にとって特に重要な地域)を、効果的かつ公平に管理し、保護区(または、その他の効果的な地域ベースの保全手段)のシステムによって保全する。
  • 侵略的外来種の侵入を50%以上削減し、その影響を排除または軽減するために、それらの種を管理または根絶する。
  • 環境中に損失する肥料の半分以上、農薬を3分の2以上削減し、プラスチックの廃棄をなくす。
  • 地球規模の気候変動緩和策として、温室効果ガスの排出量をCO2換算で年間10GtCO2e以上の削減し、すべての緩和策と適応策が生物多様性への負の影響を回避する。
  • 生物多様性に有害なインセンティブを、公正かつ公平な方法で、方向転換・再利用・改革・廃止することにより、年間5,000億ドル以上の削減をする。
  • あらゆる資金源から途上国への国際的な資金の流れを2,000億ドル増加させる。

このフレームワーク原案は2年以上かけて作成されたもので、今後さらにブラッシュアップさせた後、10月11日から24日にかけて中国・昆明で開催されるCOP15(第15回生物多様性条約締約国会議)で審議にかけられます。

 

生物多様性条約について詳しく知りたい方はこちら


(参考)
Press Release: 1st Draft of The Post-2020 Global Biodiversity Framework
https://www.unep.org/resources/publication/1st-draft-post-2020-global-b…


1st Draft of The Post-2020 Global Biodiversity Framework
https://www.cbd.int/doc/c/abb5/591f/2e46096d3f0330b08ce87a45/wg2020-03-…

なお、グローバル生物多様性フレームワーク原案にある翻訳部分は、公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:情報広報室 金森 紀仁)
 

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