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140. 地球規模生物多様性概況 第5版

生物多様性条約事務局(カナダ・モントリオール)は9月15日、地球規模生物多様性概況第5版を公表しました。今年は、2011-2020年の戦略計画「生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急な行動を実施する」の最終年にあたりますが、戦略で設定された20の個別目標(愛知目標)の達成状況について、完全に達成できたものはありませんでした。

生物多様性条約と戦略計画

生物多様性条約は1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」で採択されました。さらにその10年後の2002年には、第6回締約国会議(COP6)において戦略計画「締約国は現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」が定められました。しかし、計画の中で設定した目標のすべてを達成できず、2010年に開催された第10回締約国会議(COP10)において新たに戦略計画が採択され、2050年までに「自然と共生する世界」を実現することを目指し、2020年までに「生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急な行動を実施する」こととしました。この中で個別目標として20項目の愛知目標が定められています。

地球規模生物多様性概況第5版の概要

地球規模生物多様性概況第5版は、国別の報告書や生物多様性に関する研究成果やデータを分析して生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標の達成状況について分析した報告書です。報告書によれば20項目の愛知目標のうち6項目は一部達成と評価したものの完全に達成したものはありませんでした。20の目標はさらに細分化した60の要素で評価しており、7項目(11.7%)が達成、38項目(63.3%)が進展あり、15項目(25.0%)が進展なし・後退、もしくは不明でした。愛知目標に応じて各国が国別目標の範囲や目標のレベルを設定していますが、愛知目標の達成に必要とされる内容とズレがあったと指摘しています。

ポスト2020目標

2050年ビジョン「自然との共生」の達成にむけて、生物多様性の保全・再生に関する取組の拡大、気候変動対策、生物多様性損失の要因への対応、生産・消費様式の変革及び持続可能な財とサービスの取引といった様々な分野での行動を、連携させていくことが必要です。今回の概況を受けて、次の10年に向けた「ポスト愛知目標」が第15回締約国会議(COP15)にて採択される予定ですが、新型コロナウイルスの影響で、今年10月から来年5月に延期されました。

 

(研究戦略室・金森 紀仁)

参考:

Global Biodiversity Outlook (GBO) https://www.cbd.int/gbo5

地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)の公表について https://www.env.go.jp/press/108447.html