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382.科学の下で団結せよ ― United in Science 2021 

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382.科学の下で団結せよ ― United in Science 2021 

2021年9月、国連総会の開催に合わせ、気候変動関連の報告書が次々と発表されています。


2021 年9月16日、世界気象機関(WMO)を中心とした国連機関*は、最新の気候科学関連情報をまとめ、共同で「科学の下で団結せよ United in Science 2021」を公表、全ての国が気候変動対策にコミットする必要を訴えました。報告書では、各機関が最近公表した機関報告書のハイライト(以下、例)がまとめられています。

  • WMO:温室効果ガス( 二酸化炭素CO2、メタンCH4、亜酸化窒素または 一酸化窒素 N2O)濃度は2020年~2021年前半期に上昇し続けている。また、2021年は北米での熱波や欧州西部での洪水など、人為的な気候変動の兆候とされる破壊的な異常現象を記録している。
  • IPCC:大気・海洋・雪氷圏・生物圏における広範で急激な変化への人類の影響は疑いないところであり、現在気候システムが経験している事象のスケールは過去数百~数千年間前例がない。
  • WHO/WMO:気温上昇が熱中症関連の健康被害を引き起こしており、2000年に比べ2019年には1030憶労働時間が喪失したと推計される。COVID-19感染症や熱波・山火事・大気汚染は、人類の健康を損ね、とりわけ脆弱な社会層を危機に陥れている。

*世界気象機関(WMO)に加え、国連環境計画(UNEP)、世界保健機関(WHO)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、グローバルカーボンプロジェクト(GCP)、UNESCO政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC)、世界気候研究計画(WCRP)、英国気象庁が参加。

 

翌日の9月17日、国連はパリ協定に参加する191か国の各加盟国が国連に提出する国別削減目標(NDC: Nationally Determined Contributions)をとりまとめた報告書を公表しました。  報告書は、現状の国別削減目標に基づけば、2010年比での2030年の温室効果ガス排出は、削減どころか16%程度上昇しかねず、最近のIPCC報告書に照らし合わせれば、早急の気候変動対策なしに今世紀末までの気温上昇は2.7℃に達しかねないと警告(Code Red)を発しています。今回の報告書でNDCsを更新したEUや米国を含む113か国は世界の排出の49%を占めますが、2010年比で2030年までに排出を12%削減することが期待されています。報告書はこれらの動きを歓迎しつつも不十分であると述べ、21世紀半ばにカーボンニュートラルを達成するには、2030年までに45%の排出削減が必要であると訴えました 。 

 

参考文献

United In Science 2021: A multi-organization high-level compilation of the latest climate science information https://library.wmo.int/index.php?lvl=notice_display&id=21946#.YUL0NBlx…;

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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