現地の動き
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504. 気候変動の影響を受けるハイガイ養殖
二枚貝であるハイガイは体液にヘモグロビンを含む赤貝類の一種で、大きいものは殻長が5 cm位にまで成長します。本種は東南アジア諸国で食用として一般的で、養殖対象にもなっています。その養殖方法は、マングローブ林や泥干潟が形成される河口域とその周辺の浅海域を主な漁場として稚貝を移植して行う地まき式養殖です。本稿では雨季にタイの地まき式養殖漁場で発生したハイガイの大量死の事例を紹介し、ハイガイ養殖の安定化策を考えます。
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503. 過去50年間の気候変動により熱帯雨林樹木の成長や水利用効率が変化した
地球規模の気候変動は、森林を構成する樹木の分布や成長速度、炭素固定量等に大きな影響を与えている可能性があります。特に熱帯雨林は樹木が巨大で大量の炭素が貯蔵されているため気候変動の影響を正確に予測することは重要です。しかし、一年を通して高温多雨で気候に季節性の無い熱帯雨林では、年輪から長期的な成長量を求めることは困難とされてきました。このたび国際誌「Methods in Ecology and Evolution」に公表された研究では、マレーシアの熱帯雨林の樹木の材に含まれる放射性炭素同位体濃度から過去の成長量を高精度に特定する新しい技術を確立しました。
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502. 国際農研ホームページのリニューアル
2022年3月22日(火)より国際農研ホームページのトップページをリニューアルしました。今回のリニューアルでは、より見やすく、使いやすく、視覚的に情報を伝えることができるようなトップページを目指して、デザインやメニュー構成を見直しました。
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501. 世界水の日:安全な地下水のための肥培管理技術の開発
3月22日は世界水の日(World water day)で、世界の様々な国で水の大切さの啓発を行う日とされています。今年のテーマは「地下水」です。世界の子どもの5人に1人が、日々の生活に必要な水を十分に得られていません。途上国農村では、飲料用の井戸水に窒素肥料を起源とした高濃度の硝酸態窒素が含まれることで、人々の健康を害するおそれがあります。安全な飲料水を供給するインフラ整備の必要性とともに、畑の窒素肥料の利用効率を高め、地下水の硝酸態窒素濃度を低下させる取り組みが求められます。
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500. より良い世界に向けて-持続可能な開発目標13
2020年3月8日に始めたPick Upも今回で500記事目となりました。そんな今日は、気候変動に関する持続可能な開発目標(SDG 13)に関する世界の様々な教育やイノベーションの取り組みを特集した人間開発フォーラム発行の「A Better World 」を取り上げます。本書では、国際農研・環境プログラムがアジアモンスーン地域を中心に行っている気候変動に関する研究課題も紹介されています。
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499. イネいもち病に対する判別システムの普及と利用
糸状菌(カビ)の一種が原因のいもち病は、熱帯から温帯までのイネが栽培される全ての地域で発生します。いもち病害は、単一品種が広域な範囲で、繰り返して利用されること(モノカルチャー)により、その特定の抵抗性を持った品種に感染可能な優占菌レースが発生し、冷害のようなイネの生育時期の低温、肥料の過剰施用等により誘発されます。温帯地域ばかりでなく、アフリカやアジアの熱帯地域でも被害の報告が多くなってきています。特に経済的に貧しい開発途上地域における稲作においては、多様性を生かした品種の育成や栽培方法の開発が、今後重要になってきます。
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498. コメ生産増加およびマラリアの撲滅の同時達成には農業分野と保健分野による協力が必要
マラリアはマラリア原虫をもった蚊に刺されることで感染する病気で、依然として世界で最も重大な感染症の一つです。アフリカの多くの地域では、外来診療所の受診や小児病棟への入院で最も多い理由がマラリアです。一方で、稲はアフリカで最も急速に拡大している作物で、コメ需要の増加予測のもと、多くのアフリカ諸国は生産拡大を目指しています。Lancet Planetary Healthに発表された研究は水稲栽培とマラリア感染の関係性についてメタ分析を行い、コメの生産増加およびマラリアの撲滅という2つの開発目標の同時達成には農業分野と保健分野による協力が必要であることを示しました。
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497. ほとんど分かっていなかったカンボジアの海面小規模漁業を解明する
2022年は零細漁業と養殖の国際年と定められています。小規模な漁業・養殖業従事者の振興のための実態把握は極めて重要です。しかし、漁業管理の基礎データとなる漁獲統計は、途上国においては大規模漁業で漁獲された限られた種類のサンプルデータであることが多く、小規模海面漁業の漁獲量や操業実態はほとんど分かっていません。カンボジアの海面小規模漁業は多くの漁家によって営まれていることから、カンボジア政府の協力を得て、東海大学と国際農研でその実態を分析しました。
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496. 「国際森林の日」と熱帯島嶼における森林利用
一週間後の3月21日は「国際森林の日」です。今年のテーマは「森林と持続的生産・消費」です。森林は単に木材を生産するだけではなく、水土保全や気候変動緩和などの公益的機能を発揮し、果実やキノコなどの非木材林産物を生産する地域住民にとって重要な生活の場でもあります。我々国際農研は、森林のある山地において小規模農家の生業維持と水土保全機能向上の両立につながる持続的資源利用について研究を行っています。
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495. 将来のパンデミックを回避するための食料システムを目指して
2020年に世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症のパンデミックを宣言してから丸二年が経ちます。パンデミックは、非常に大きなコストを伴い、その原因となる人獣共通感染症の発症を抑える予防の方が効果的です。パンデミック・人獣共通感染症の予防には、生物多様性喪失・土地利用変化の最大要因である食料システムのモニタリングが必要となります。
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494. 土地利用の持続性に関する10のファクト
土地利用は、生物多様性保全、気候変動、食料安全保障、貧困削減、持続的なエネルギーなど、様々な側面から持続性に絡んできます。社会―生態学的な土地利用システムに関する知見は、土地利用の問題を持続的に解決する上で重要な役割を果たします。2022年2月、PNAS誌で、文献レビューに基づき、土地利用の持続性に関する10のファクトをとりまとめた論文が公表されました。
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492. 農地面積は21世紀に加速度的に拡大
2022年1月、国際誌Nature Foodにて公表された論文は、衛星データを用い、21世紀来、農地面積は加速度的に拡大している事を示しました。新しくできた農地面積の半分は自然の植生や樹木からで、森林減少と自然生息地の劣化を阻止するというSDGs目標15(陸の豊かさも守ろう)との矛盾を示しています。
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491. 肥満と食料システム
先日の3月4日は「世界肥満デー」でした。過体重と肥満は健康へのリスクを抱えている状態を指し、2017年時点で、毎年400万人を超える人々が過体重あるいは肥満を原因として亡くなっていると推計されています。かつては高所得国だけに見られた問題でしたが、近年では低・中所得国でも、とりわけ都市部で増加傾向にあります。過体重・肥満の原因となる食生活をめぐる食料システムの在り方を抜本的に見直す必要性があります。
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490. 野菜研究 ―世界の栄養改善に向けてー
野菜を食べること、栄養素・機能性成分をとることは、健康な生活をおくるうえでとても重要です。本日は、広報JIRCAS最新号から、野菜の遺伝資源を使って栄養改善を図る研究活動の話題を提供します。
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489.トウモロコシからの地球を健康にする物質とは
増え続ける人口を支える作物や家畜のエサ(飼料)の収穫量を増やすためには、土に「窒素肥料」をまく必要がありますが、投与された分の約50%しか植物に吸収されず、残りは農地から汚染水や温室効果ガスの形で放出されています。国際農研の発行する広報JIRCAS最新号から、今回はトウモロコシからの地球を健康にする物質の探索に関する記事を紹介します。
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488. 気候変動による動植物の活動周期と季節のミスマッチ
国連環境計画は、2016年以来、深刻化しつつある環境問題に焦点を当てたFrontiers報告書を発表しています。2022年2月17日に公表されたFrontiers 2022: Noise, Blazes and Mismatchesでは、都市の騒音公害の長期的な精神・健康への負の影響、気候変動によって頻発化する山火事・森林火災、気候変動による動植物の活動周期と季節のミスマッチ、の問題を取り上げています。本日は、動植物の活動周期と季節のミスマッチの話題を取り上げます。
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487. IPCC - 気候変動に強靭な開発の必要性
2022年2月、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2作業部会(WG2)「 気候変動に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変動がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変動への適応のオプションについての評価による気候変動適応に関する報告書」が公表されました。報告書は、気候変動・エコシステム劣化や生物多様性喪失・人間社会の結合システム(coupled systems)に着目し、その相互関係から生まれるリスクを分析する一方、気候に強靭な開発(Climate Resilient Development)に向け、適応・緩和とSDGs達成を促進するための政策コミットメント・ガバナンスを提案します。
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486. 国際農研が農研機構と共同で育成したサトウキビ新品種の一般農家への種苗配布が開始
サトウキビは、世界の砂糖の約8割、バイオエタノールの約4割を生産する世界の食料・エネルギー生産にとって重要な資源作物です。日本では、南西諸島の基幹作物として栽培されており、砂糖の国内自給率維持だけでなく、島嶼地域の社会・経済の維持にとっても重要な役割を果たしています。国際農研は農研機構と共同で、サトウキビ野生種との種間交配を利用した日本初の製糖用サトウキビ品種「はるのおうぎ」を育成しました。このたび、この新品種の普及に向けて、鹿児島県熊毛地域と奄美地域の一般農家への種苗配布が令和4年2月から開始されました。
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485. 栄養不良という世界的な課題に取り組む~情報プログラムからの貢献
国際農研では、広報JIRCASという冊子を発行し、国際農研職員の活動を紹介しています。今回は最新号より栄養不良という世界的課題への取り組みについて抜粋し、一部編集した記事を紹介します。詳しい内容は本文をご覧ください。