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552. 持続可能な開発報告書2022: SDGs進捗は2年連続で後退

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552. 持続可能な開発報告書2022: SDGs進捗は2年連続で後退

国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)は6月、持続可能な開発報告書2022(Sustainable Development Report 2022)を刊行しました。SDSNは、国連事務総長の後援のもと2012年に設立されたネットワークで、世界的な科学技術の専門知を結集し、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ気候協定の実施など持続可能な開発のための実用的な解決策を提案しています。

本報告書には、SDGs達成にむけての進捗を追跡することのできるSDG指標とダッシュボードが含まれています。昨年、2015年のSDGs合意以来はじめてSDGs達成に向けた進捗が逆転、後退しましたが、今年も進捗が見られず、SDG指標は2年連続でさらに減少しました。新型コロナウイルスパンデミックだけでなく、健康・気候・生物多様性・地政・軍事などに関する複数の国際危機が同時に生じたことが原因です。

今はちょうど2015年から2030年の中間点にあたります。2023年9月には国連加盟国がSDGs採択以来2回目の会合を開き、SDGs達成に向けての優先事項を定義することになっています。SDGs の進捗を回復させるためには、パンデミックや戦争を終結させ、SDGs達成に向けての資金を確保するための国際的な協力が必要でしょう。

SDGs達成に向けての総合的な進捗を国別に測るSDG指標のトップはフィンランド(昨年1位)で、次にデンマーク(昨年3位)、スウェーデン(昨年2位)と、北欧諸国が続きます。上位10カ国をヨーロッパ諸国が占めています。東アジアと南アジアはもっとも進歩の著しい地域で、2015年からみて最もスコアの向上が大きい国はバングラデシュとカンボジア、逆に最もスコアが減少したのはベネズエラです。

日本は163か国中19位で、2019年の15位、2020年の17位、2021年の18位から更にランクを落としました。特に目標5(ジェンダー)、12(生産・消費)、13(気候変動)、14(海洋資源)、15(陸上資源)、17(実施手段)について大きな課題が残っているとされています。

(参考文献)
SDSN. Sustainable Development Report 2022. 
https://dashboards.sdgindex.org/ , Accessed on June 3, 2022.

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

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