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330. 持続可能な開発報告書2021:SDGs進捗がはじめて逆転

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330. 持続可能な開発報告書2021:SDGs進捗がはじめて逆転


国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)は6月、持続可能な開発報告書2021(Sustainable Development Report 2021)を刊行しました。SDSNは、国連事務総長の後援のもと2012年に設立されたネットワークで、世界的な科学技術の専門知を結集し、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ気候協定の実施など持続可能な開発のための実用的な解決策を提案しています。

本報告書には、SDGsへの進捗を追跡することのできるSDG指標とダッシュボードが含まれています。世界的に、2015年のSDGs合意以来はじめて、SDGs達成に向けた進捗が後退しました。この後退の理由は言うまでもなく新型コロナであり、このパンデミックに限らず気候変動や生物多様性の危機など地球規模課題に立ち向かうためには、強力な多国間システムが必要だと説いています。


低所得の開発途上国は高所得国よりも借り入れが難しいため、豊かな国が貧しい国よりもパンデミックから早く回復する可能性があります。発展途上国がSDGsに向けた進捗を回復するためには、世界的な税制改革や開発銀行による資金調達によって、財政的な余力を拡大する必要があるとしています。

SDGs達成に向けての総合的な進捗を国別に測るSDG指標のランキングトップはフィンランドで、次にスウェーデン、デンマークと、北欧諸国が続きます。東アジアと南アジアはもっとも進歩の著しい地域です。2015年からみて最もスコアの向上が大きい国はバングラデシュ、コートジボアール、アフガニスタンで、逆に最もスコアが減少したのはベネズエラ、ツバル、ブラジルです。


日本は165か国中18位で、2019年の15位、2020年の17位から更にランクを落としました。特に目標5(ジェンダー)、13(気候変動)、14(海洋資源)、15(陸上資源)、17(実施手段)について大きな課題が残っているとされています。

*図は、出版元に許可を得、引用を明記の上、掲載をしております。

 

参考文献

Sachs, J., Kroll, C., Lafortune, G., Fuller, G., Woelm, F. (2021). The Decade of Action for the Sustainable Development Goals: Sustainable Development Report 2021. Cambridge: Cambridge University Press.
https://www.sustainabledevelopment.report/ , Accessed on July 2, 2021.

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

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