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805. 持続可能な開発報告書2023: すべてのSDGsが軌道を外れている

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805. 持続可能な開発報告書2023: すべてのSDGsが軌道を外れている

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は2015年に採択され、2030年を達成期限としています。今はその折り返し地点にいます。

国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)は6月、持続可能な開発報告書2023(Sustainable Development Report 2023)を刊行しました。SDSNは、国連事務総長の後援のもと2012年に設立されたネットワークで、世界的な科学技術の専門知を結集し、持続可能な開発のための実用的な解決策を提案しています。

本報告書には、SDGs達成にむけての進捗を追跡することのできるSDGs指標とダッシュボードが含まれています。初期にはある程度の進捗がみられたものの、2020年にはじめてSDGs達成に向けた進捗が逆転し、そこからSDGsの進捗は世界的に停滞しています。新型コロナウイルスパンデミックだけでなく、健康・気候・生物多様性・地政・軍事などに関する複数の国際危機が同時に生じたことが原因です。

この展開は憂慮すべきものではありますが、本報告書ではSDGsはどうしても手が届かないわけではなくまだ達成可能な目標であるとして、SDGsに対する取り組みを強化すべきだとしています。本質的にはSDGsは投資の課題であり、国連加盟国がSDGsの刺激策を採用・実施し、世界の金融構造の包括的な改革を支援することが重要だとしています。

SDGs達成に向けての総合的な進捗を国別に測るSDG指標のトップはフィンランド(昨年1位)で、次にスウェーデン(昨年3位)、デンマーク(昨年2位)と、北欧諸国が続きます。上位20か国はヨーロッパ諸国が占めています。日本は166か国中21位で、2019年の15位、2020年の17位、2021年の18位、2022年の19位から更にランクを落としました。日本は目標5(ジェンダー)、12(生産・消費)、13(気候変動)、14(海洋資源)、15(陸上資源)について特に大きな課題が残っているとされています。

 

(参考文献)
SDSN. Sustainable Development Report 2023. 
https://dashboards.sdgindex.org/ , Accessed on June 22, 2023.

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)

 

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