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540. 気候変動・食料危機・「国際生物多様性の日」

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540. 気候変動・食料危機・「国際生物多様性の日」

5月18日、世界気象機関(WMO)は、世界気候の現状に関する報告書2021年版を公表、2021年に気候変動に関する主要4指標 -温室効果ガス濃度、海面上昇、海洋熱、海洋酸性化- のすべてが過去最高値を記録したことを発表しました。

 

5月18日には、また、アントニオ・グテーレス国連事務総長が、気候変動とCOVID-19で既に危機的状況にある世界の食料問題に言及し、ロシアによるウクライナ侵攻で急激に悪化していることに警鐘を鳴らしました。
 
今回の危機の原因は複合的です。過去10年間、17億人が異常気象・気候変動の影響を受けています。COVID-19パンデミックはさらにサプライチェーンの寸断により深刻な経済危機をもたらし、とりわけ大きな負債を抱える途上国はパンデミックからの回復に苦しんでいます。過去2年間、深刻な食料安全保障の危機に陥っている人々の数は、パンデミック前の1.35億人から2.76億人に上昇し、その半数以上が飢饉に近い状況にあると報告されています(2016年以来500%の上昇率)。これに加え、ロシアのウクライナ侵攻が、気候変動・COVID-19・格差による食料危機をさらに深刻化・加速化させています。過去1年の間、食料価格は30%(1/3)以上、肥料価格は50%(half)以上、植物油は66%(2/3)近く上昇していると報告されています。

国連事務総長は、迅速な対応をしなければ、短期的な危機が長期的な災害に拡大することを憂い、国際社会に対し、食料・肥料供給が滞らないよう、農民に対する種子・肥料に対する支援を含む財政・金融措置を要請しました。国連事務総長は、食料危機には国境はないとし、食料危機がさらなる紛争につながることを防ぐために、国際連携の緊急性を訴えました。

食料・燃料・肥料価格高騰によって逼迫しつつある世界食料安全保障の危機を受け、米国のイエレン財務長官はアジア開発銀行(ADB)・アフリカ開発銀行(AfDB)・欧州復興開発銀行(EBRD)・国際農業開発基金(IFAD)・米州開発銀行(IDB)・国際通貨基金(IMF)・世界銀行(World Bank)グループといった国際・地域金融機関と連携し、とくに途上国において懸念される食料危機への対応を発表しました。 
 


週末の5月22日は「国際生物多様性の日(International Day for Biological Diversity)」です。 2022年のスローガンは、全ての生命が共有可能な未来の構築(“Building a shared future for all life”)を謳っています。 生物多様性は持続可能な開発と多面的に関わっています。気候変動をはじめ、健康問題・食料・水不足に対するネイチャーベースド・ソリューションと持続的な生活を維持する上で、生物多様性は我々がよりよい復興を達成する基盤を提供してくれます。

グローバル化した世界において、生物多様性・気候変動・食料栄養安全保障の問題は密接に関わりあっており、国際的連携による解決が求められます。

 


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

 

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