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545. 大雨・高潮・ハリケーン

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545. 大雨・高潮・ハリケーン

日本ではまもなく本格的な雨の季節が到来します。気候変動とともに、熱波・干ばつ他、大雨による大災害の可能性も高まることが予測されており、早期警戒システムの整備が必要とされています。 

2022年5月、気象庁と国土交通省は、防災情報の伝え方を変えることを発表しました。 例えば、「線状降水帯」が発生するおそれのある場合には半日から6時間前までに気象情報で発表するとしています。このほか、5月26日より、高潮警報が、これまで運用していなかった内陸地域の自治体で、川の遡上などで新たに被害のおそれがあるとされた東京の目黒区や新宿区なども対象となるそうです。 


海を越え、アメリカでは大西洋ハリケーンに人の名前をつけます。 現在では、大西洋ハリケーンに関しては、アルファベット順の名前のリストが6年ごとに繰り返されています。とくに大きな被害をもたらした記録的で記憶にのこる名前は、二度と使われないリスト入り、「引退」することが決まっています。このたび、昨年、ルイジアナからニューイングランドにかけて55名の人命と50億ドル相当の大被害をもたらしたIda(アイダ)がリスト入りしました。 アイダは、やはりその名が「引退」することになった、カトリーナ(Katrina)、ハーヴィー(Harvey)、マリア(Maria)、 サンディ(Sandy)、に次いで、史上5番目の被害をもたらしました。

世界気象機関(WMO)は、これまでに94のハリケーン名を「引退」させているとのことですが、そのうち12が‘I’から始まる名前で、次が‘C’と‘F’であったとのことです。その理由として、専門家は、ハリケーンの名前がアルファベット順につけられ、ちょうどハリケーンのピーク時が‘I’に到達するタイミングと一致するからではないか、と推測しています。他方、そのわりには‘I’の前後の‘H’や‘J’が少ないということで、ただの偶然に過ぎないかもしれません。


IPCCは、温暖化の下で、熱帯サイクローンなど異常気象の頻度と強度が増していくことを予測しています。農林水産業は大きなインパクトを受け、食料安全保障にも影響が及ぶ可能性があります。大災害の回避には、早期警戒システムの整備と同時に、気候変動の緩和・適応対策の双方を通じた強靭な社会経済システム・食料システムの構築が必要とされます。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)