国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS

現地の動き

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42. 新型コロナウイルス・パンデミック ―国連環境計画 (UNEP): 環境破壊と人獣共通感染症 (zoonotic diseases)

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) パンデミックが収まらない現在ですが、2016年に国連環境計画 (UNEP)が公表した報告書では、今後新たに発現する環境課題の一つとして人獣共通感染症 (zoonotic diseases)が挙げられていました。人獣共通感染症の発現は、人為的な環境変化や生態系の攪乱と関わっており、日和見的に環境・社会・経済的ストレス下に置かれた宿主に影響を与えます。全ての新規感染症の75%、人間が罹患する感染症の60%は人獣共通感染症とされ、エボラ、鳥インフルエンザ、中東呼吸器症候群MERS、リフトバレー熱、重症急性呼吸器症候群SARS、ウェストナイルウイルス、ジカウイルス、など、莫大な経済費用をもたらします。人獣共通感染症対策には、多様な種を維持する生態系の維持が必要とされ、環境・農業・保健の3分野にまたがる政策協調の枠組み強化が必要です。
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41. 新型コロナウイルス・パンデミック ― ロックダウン下の青果物グローバル・サプライ・チェーン

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 拡大の影響で、日本でも海外産フルーツに品薄感が広がっています。「ノーマル」時には、フルーツや野菜のような生鮮食品かつ高付加価値農産物を含む国際貨物の4割は、世界中に張り巡らされた旅客機ネットワークを活用した効率的なグローバルサプライチェーンで取引が行われていました。ロジスティック専門家は、旅客機減便に伴う貨物運賃の上昇は青果物の国際輸送を割高にし、COVID-19後の「ニューノーマル」期に、グローバルな合理化による事業移転が起こる場合、新興国の生産者が打撃を受ける可能性に言及しました。
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40. 新型コロナウイルス・パンデミック ―国際農業開発基金 (IFAD) - COVID-19 対策によるアフリカ農業と農村貧困層支援

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、アフリカ農業と農民に大きな打撃を与えています。2020年5月14日、国際農業開発基金の特使であるオルシェグン・オバサンジョ元ナイジェリア大統領とハイレマリアム・デサレン・ボシェ元エチオピア大統領は、「COVID-19対策はアフリカ農業と農村貧困層をターゲットとすべきである」と寄稿文を寄せました。
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39. 2020年世界栄養報告:公正への活動で栄養不良に終止符を

2020年世界栄養報告(2020 Global Nutrition Report)が発行されました。現在、世界で9人に1人が栄養不足であり、3人に1人が過体重です。今年の報告書の副題は、あらゆる形態の栄養不良を終わらせる上での不公正の影響を明らかにしています。報告書自体は新型コロナウイルス(COVID-19)前に編集されていますが、序文でパンデミックについても触れ、栄養はストレスへの強靭性を持つために非常に重要な要素であり、あらゆる形態の栄養不良に対する取り組みを強化するよう、政府、企業、市民社会に呼びかけています。
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38. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 国連食糧農業機関 (FAO) 2020年5月食料価格動向速報

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、世界的な経済不況をもたらしています。穀物市場においては現段階では危機的な価格高騰は回避できていますが、国際社会では、刻々と変化する食料輸出国による政策の動きを含み、食料価格に影響を与える様々な要因をモニターしていく必要性の認識が共有されています。 国連食糧農業機関(FAO) は、世界・地域・国レベルでの最新価格動向について、食料価格動向速報(Food Price Monitoring and Analysis: FPMA Bulletin Monthly Report)を公表し、とくに価格上昇が観察される国々の事情について詳細な情報を提供しています。2020年5月速報によると、2020年4月、前月に比べ、小麦価格とコメ価格は上昇、メイズ価格は下落しています。
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37.養分利用に優れた稲作技術開発でマダガスカルの食料安全保障に貢献

マダガスカルは、豊かな生態系や珍しい動植物で知られていますが、この国の農業は稲作を基盤とし、日本の2倍以上のコメが消費されています。一方で、イネの生産性は停滞しており、農村地域の貧困削減を妨げてきた結果、マダガスカルは世界の最貧国の一つにとどまっています。イネの生産性を阻害する要因として、農家が貧しいために肥料を購入する資金が少ないこと、アフリカ特有の風化土壌に起因する乏しい養分環境をもつことが挙げられます。そこで、国際農研は、肥料と土壌からの養分供給が少ない条件でも安定的にイネの生産性を改善できる技術開発を目指し、現地研究機関とプロジェクトを実施しています。最近の研究ハイライトとして、少ないリン肥料でイネの収量を大幅に改善できることを現地農家圃場で実証しました。
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36. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 東アフリカ共同体による国境間サプライチェーン・モニタリングと地域農業振興支援声明

東アフリカ共同体(East African Community: EAC)は東アフリカ諸国により結成された地域共同体ですが、海岸線を有するのはケニアとタンザニアのみで、残りの内陸国にとり、食料・燃料・医療品を含む国境間(cross-border)の物流は国家経済の生命線でもあります。2020年5月12日、EAC6か国中、ルワンダ・ケニア・ウガンダ・南スーダンの4か国首脳は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックとの戦いの間も、国境を越えた物流が途絶えることがないよう共同声明を出しました。首脳らは、現在のパンデミック、そしてポストCOVID-19を見据え、農民による農業活動が中断されることなく継続されるよう配慮し、農業加工・付加価値化や地域レベルでの農業振興を支援することを表明しました。
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35. Nature Food論文:食料供給と需要の “距離” ローカル・フードシステム 対 国際貿易 

農業は本質的にローカルな生産活動であるのに対し、食産業はグローバルに展開され、今日、世界中の人々が多かれ少なかれ輸入食料に依存しています。COVID-19が契機となり、食料供給と需要をより近いものにしようとするフードシステムのローカル化が議論されることになるでしょう。2020年4月にNature Foodに発表された論文は、6作物群について食料生産と消費の間の潜在的最小距離を推計、収量向上やフードロス削減のシナリオも検討しました。分析の結果、半径100㎞の範囲で需要を満たすことができるのは世界人口の三分の1以下と推定され、多くの人々にとり需給距離は1,000㎞を超え、食料供給を輸入に依存せざるをえない状況が浮かび上がりました。収量向上やフードロスの削減は、アフリカやアジアでローカル生産による需要充足に繋がりますが、安定的な食料供給のためにはグローバルサプライチェーンも必要です。著者らは、本研究は、政策提言ではなく、むしろローカル・フードシステム対国際貿易を巡る議論への拠り所となる全体像を提供することを期待しています。
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34. HarvestPlus:生物学的栄養強化(Biofortification)― 「隠れた飢餓」撲滅への期待

世界は、飢餓・栄養不足、肥満・栄養過多、微量栄養素欠乏、という三つの栄養課題に直面しているとされています。中でも微量栄養素欠乏は「隠れた飢餓(Hidden Hunger)」とも称され、重要栄養素の摂取効率や代謝や免疫に大きな影響を及ぼします。2020年5月現在、国際社会が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック封じ込めに取り組む中、感染症等への強靭性強化の観点からも栄養の重要性が浮き彫りになっています。HarvestPlusは、開発途上国における脆弱な人々を対象に、亜鉛・鉄分・ビタミンAなどの微量栄養素に富んだ作物の生物学的栄養強化(biofortification)の育種・開発と普及に取り組んでいます。
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33. 新型コロナウイルス・パンデミック ― COVID-19財政復興パッケージは気候変動対策を加速あるいは減速させるか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う世界経済危機に対する大型景気対策の必要性が議論される中、「環境保護路線の回復」に対する機運が高まっています 。ノーベル賞受賞者ジョセフ・スティグリッツら米英の著名な経済学者らは53か国231人の専門家に政策評価を依頼しました。その結果、経済乗数効果と気候変動インパクトの面から、環境に優しいインフラ投資・建築物のエネルギー効率改善・教育と訓練への投資・気候変動対応型農業など自然資本投資・環境に優しい技術のR&D投資、の5つが評価されました。低・中所得国に関しては、環境に優しい技術のR&Dに代わり、持続的農業・エコシステム再生・クリーンエネルギーシステムなどを支援する農村スキームが支持されました。
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32. 食糧農業機関 (FAO) ー グローバル森林資源アセスメント2020年版

国連食糧農業機関(FAO) は、2020年版グローバル森林資源アセスメントを公表しました。グローバル森林資源評価(FRA)は、世界の森林面積の傾向や、土地保有権やアクセス権、持続可能な森林管理、森林保全のための法的および制度的枠組み、持続可能な利用状況について報告しています。現在、森林面積は40.6憶ヘクタール、世界の陸地のおよそ三分の一を占め、1990年以来、世界的に森林面積は減少傾向にありますが、減少率は鈍化しつつあります。
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31. 新型コロナウイルス・パンデミック ― グレート・ロックダウン (大封鎖) vs. グレート・リセッション(経済不況)

国連食糧農業機関(FAO) は、報告書『危機の比較:グレート・ロックダウンvs.グレート・リセッション』を公表しました。2000年代後半から2010年代初頭の「グレート・リセッション(経済不況)」は、これまで第二次世界大戦以来最悪の大規模景気後退局面であると言われてきました。今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う「グレート・ロックダウン(大封鎖)」による経済危機は、グレート・リセッションのケースを遥かに上回り、高所得国のみならず、低所得国も影響を受けるのは確実とされています。とりわけ小規模な島嶼開発途上国家 (SIDS)は、食料を輸入に依存し、観光収入と送金が途絶える中、今回の危機で最大の被害を受けるとされています。
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30. 越境性病害虫と国際植物防疫年 ― ツマジロクサヨトウ(fall armyworm)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行によって、国境を越えた移動が難しい日々が続いています。一方、昨年からアフリカ東部を発生源として始まったサバクトビバッタの大発生にみるように、長距離移動能力を有する越境性病害虫に国境はありません。チョウ目の害虫であるツマジロクサヨトウ(英名fall armyworm: FAW、学名Spodoptera frugiperda)も、近年、その分布域を大幅に拡大している世界的な越境性害虫です。南米原産ながら、2016年にアフリカ大陸を席巻後、アジアを経由して昨年7月に日本に到達し、現在は昨年来の山火事被害の記憶が生々しいオーストラリアに侵入と報道されています。今年は、植物病害虫のまん延防止に向けた取組の重要性に対する世界的な認識を高めることを目指す「国際植物防疫年」ですが、越境性病害虫はCOVID-19対策同様、ひとつの国で解決することは不可能であり、国際協調が不可欠です。
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29. 米国科学アカデミー紀要(PNAS)論文: 人類の気候的ニッチの未来

2020年5月4日、米国科学アカデミー紀要(PNAS)は、「人類の気候的ニッチの未来(Future of the human climate niche)」論文を公表しました。論文は、人口増と温暖化進行のシナリオによっては、今後50年間に、人類の居住に適したニッチが未だかつてない規模で高緯度にシフトする一方、人口増が低緯度地域で起こることで、適切な人口分布と気候のミスマッチが増幅され、最悪のシナリオでは世界人口の3分の1に相当する35億人が、年間平均気温29度以上の状況に置かれることを予測しました。最も影響を被るとされる地域は世界最貧地域でもあり、気候変動への適応力は弱く、気候変動緩和策と同時に人間開発の向上が最優先とされるべきです。
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28. 新型コロナウイルス・パンデミック ― フードシステムとは

2020年5月上旬現在、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 封じ込めのための移動規制により食料安全保障への影響が懸念される中、フードシステムの重要性が浮き彫りになっています。そもそもフードシステムとは何でしょうか。国連食糧農業機関 (FAO)・フランス国際開発研究センター (CIRAD)・欧州委員会 (European Commission) による報告書『危機にさらされるフードシステム』から、参考になる概念を紹介します。
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27. 新型コロナウイルス・パンデミック ― IFPRIダッシュボード: COVID-19輸出規制による世界食料市場への影響追跡

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による世界経済への影響が高まる中、国際社会は、刻々と変化する食料輸出国による政策の動きや、食料輸入国への影響を随時モニタリングし、国際協調で解決する方法を準備しておく必要があります。国際食糧政策研究所(IFPRI)は、COVID-19パンデミック下における各国の輸出規制と、その世界食料市場への影響を追跡するダッシュボードを開設しています。4月末現在、15か国が輸出規制を実施中、カロリー換算された世界貿易で5%程の影響と推計されています。
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26. 新型コロナウイルス・パンデミック ―国連食糧農業機関 (FAO)政策提言: 不況と飢餓

国連食糧農業機関(FAO)は、4月24日に発表したポリシーブリーフ(政策提言)で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の引き起こす世界的な不況による長期的な飢餓や食料不安への影響を緩和する政策が必要との見方を示しました。COVID-19が世界的な景気後退をもたらし、すべての国の2020年のGDP成長率を2-10%引き下げたとすると、食料の純輸入国において1440万人から8030万人の食料不足人口を引き起こすと予想しています。
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25. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 東アフリカの食料安全保障危機:都市化と農業構造転換

国連・世界食糧計画(WFP)によると、現在東アフリカ地域は、洪水・サバクトビバッタ・COVID-19の三重苦に直面しています。東アフリカ諸国の人口は世界人口の3%程にすぎませんが、急性の食料危機に直面する世界の人々の22%を占めるとされます。WFPは、東アフリカ地域において、既に約2000万人の人々が食料安全保障の危機に直面していますが、COVID-19の影響により、その数は数か月内に3400-4300万人まで増加すると推計しています。とりわけ、インフォーマル部門で既に職を失った都市部住民の食料安全保障と生業の危機が最大の懸念材料となっています。
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24. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界銀行報告:COVID-19の一次産品商品市場への影響

2020年4月、世界銀行 (World Bank) は 商品市場見通し報告書(April 2020 Commodity Markets Outlook)を公表、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が商品市場に与える影響を「未だかつて経験したことのないショック」と表現しました。COVID-19パンデミックの拡大に伴い、過去3か月間に一次産品価格が暴落、とりわけエネルギー部門が最大の影響を被りました。農作物価格は今のところ石油価格やメタル価格ほどの影響はまだ受けていませんが、今後の動向によっては、消費に占める食料支出の大きい低所得国における食料安全保障への影響も懸念されます。
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23. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界気象機関 (WMO)報告:地球温暖化の経済インパクト

世界気象機関(World Meteorological Organization)は、2020年4月22日、「2015-2019年グローバル気候報告書(The Global Climate in 2015–2019)」を公表しました。WMOは、過去5年間に気候変動の兆候と地球へのインパクトは次第に勢いを増し、今後もこの傾向が続くと予想される中、さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が気候変動の社会経済的影響を悪化させていると警鐘を鳴らしました。