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1257. アフリカの気候の現状

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1257. アフリカの気候の現状

 

世界気象機関(WMO)の最新の報告書「アフリカの気候の現状  2024 State of the Climate in Africa 2024」は、異常気象と気候変動がアフリカ全土にわたり、飢餓・治安問題を深刻化させ、社会経済発展のあらゆる側面に影響を及ぼしていることに言及しています。

2024年は、海面水温の上昇と広範囲にわたる海洋熱波により、観測上最も暑い年の一つとなりました。2024年のアフリカ全土の平均気温は、1991~2020年の平均より約0.86℃高く、2024年は記録上(1900年~現在)で最も暖かい年、または2番目に暖かい年となり(使用されたデータセットによって異なります)、過去10年間は記録上最も暖かい年でした。

報告書は、農業、食料と水の安全保障、保健、教育における深刻な課題を概説するとともに、AI、モバイルツール、高度な気象モデルを通じた新たな機会にも光を当てています。異常な豪雨と壊滅的な洪水がアフリカ各地を襲い、広範囲にわたる死者、避難、インフラの被害が発生しました。西アフリカと中央アフリカでは、集中豪雨により数百万人が影響を受け、ナイジェリア、ニジェール、チャド、カメルーン、中央アフリカ共和国などが特に大きな被害を受けました。2023年のエルニーニョ現象とインド洋ダイポールモード現象は、いずれも2024年初頭まで続き、2024年に観測された極端な気象パターンに大きな役割を果たしました。南部アフリカでは、長期にわたる干ばつにより、広範囲にわたる農作物の不作、食料不安、そして深刻な人道的・環境的課題が発生しました。世界最大の人造湖であるカリバ湖の水位が極端に低下したことで、ザンビアとジンバブエで深刻な電力不足が発生し、水力発電の大幅な減少、長期の停電、経済混乱を引き起こしました。

人工知能、数値気象予測モデル、モバイル通信ツールは、アフリカの気象サービスの精度とアクセス性を向上させていますが、デジタル変革の拡大には、インフラへのさらなる投資、データ共有の枠組みの強化、そしてより包括的なサービス提供が必要です。報告書は、早期警報システムと気候変動へのレジリエンス強化のため、インフラ、データ共有、そして包摂的なサービスへの緊急投資を呼びかけました。


(参考文献)
WMO (2025)  State of the Climate in Africa 2024. https://library.wmo.int/records/item/69495-state-of-the-climate-in-afri…

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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