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1249. 2025年4月 世界食料価格動向

1249. 2025年4月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、5月2日、世界食料価格動向を公表しました。2025年4月の値は平均128.3ポイントで、前月比で1.0%上昇しました。穀物、乳製品、食肉の価格指数の上昇が、砂糖と植物油の価格指数の下落を上回りました。食料価格指標は前年同月比で7.6%上昇しましたが、2022年3月に記録したピーク値からは19.9%低い水準にとどまりました。
穀物価格指数は、主要穀物全般の価格上昇を反映し、4月に前月比で1.2%上昇しましたが、前年同月比では依然として0.5%低い水準でした。世界の小麦価格は、ロシア連邦の輸出可能供給の逼迫、一部の主要輸出国の堅調な輸出ペース、そして特に対ユーロでの米ドル安に伴う為替変動に支えられ、小幅上昇しましたが、貿易政策動向とマクロ経済の不確実性が上昇を抑制しました。国際トウモロコシ価格も、主に米国における季節的な在庫逼迫と為替変動により上昇、米国の輸入関税政策の調整(米国産トウモロコシの主要輸入国であるメキシコへの関税免除、および他の複数の貿易相手国に対する10%を超える輸入関税の90日間の一時停止を含む)も、価格上昇圧力にさらに寄与しました。一方、米価格指数は4月に0.8%上昇しましたが、その背景に、香り米の需要が高まり、ベトナムの主要作物の収穫が最終段階に入ったことで収穫直後の米の供給が減少したことが挙げられます。
植物油価格指数は前月比で2.3%低下したものの、前年同月比では20.7%高水準でした。。この下落は主にパーム油価格の下落によるもので、大豆油と菜種油の相場価格の上昇を相殺しました。2か月間の上昇の後、国際パーム油価格は4月に大幅に下落しましたが、東南アジアの主要生産国における季節的な生産量の増加による世界的な輸出供給の緩やかな回復に支えられました。対照的に、世界の大豆油と菜種油の価格は上昇を続けており、これはそれぞれ、堅調な世界的な輸入需要と、2024/25シーズンの終わりが近づくにつれて供給が逼迫していることを概ね反映しています。一方、国際ひまわり油価格は、黒海地域からの供給が減少する中で、前年同月比では大幅に高くなりました。
食肉価格指数は4月に前月比3.2%、前年比4.3%上昇しました。食肉の国際相場は全カテゴリーで上昇し、豚肉価格の上昇幅が最も大きかったのは特筆すべき点です。この上昇は、ドイツの口蹄疫清浄ステータスの回復と輸入業者による関連規制の解除を受け、世界的な輸入需要が高まったことにより、欧州連合(EU)における相場が上昇したことが支えとなりました。さらに、イースター休暇に伴う季節的な需要増加も追い風となりました。牛肉価格も、堅調な輸入需要と世界的な供給量の減少を背景に、特にオーストラリアとブラジルで堅調に推移しました。
乳製品価格指数は4月に前月比2.4%、前年比では最大22.9%上昇しました。この上昇は、季節的な生乳生産量の増加にもかかわらず、在庫減少と乳脂肪需要の堅調さに支えられた欧州価格の上昇が主な要因です。
砂糖価格指数は前月比3.5%下落し、2ヶ月連続の下落となりました。また、2024年4月の水準を10.9%下回りました。世界の砂糖価格の下落は、不透明な世界経済の見通しと、それが世界の砂糖消費の大部分を占める飲料・食品加工セクターの需要に及ぼす潜在的な影響に対する懸念が主な要因です。3月後半のブラジルの砂糖生産量が予想を上回ったこと、ブラジルレアルの対米ドル安と国際原油価格の下落も、世界の砂糖価格の下落に寄与しました。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)