Pick Up

1273. 2025年5月 世界食料価格動向

関連プログラム
情報

 

1273. 2025年5月 世界食料価格動向 

 

国連食糧農業機関(FAO)は、6月6日、世界食料価格動向を公表、2025年5月の平均値は127.7ポイントで、4月比で0.8%低下しました。乳製品と食肉の価格指数は上昇しましたが、穀物、砂糖、植物油の価格指数の下落がそれを相殺しました。食料価格指標は前年比で6.0%高い水準ですが、2022年3月に記録したピークからは20.3%低い水準にとどまりました。

穀物価格指数は109.0ポイントで、4月比で1.8%低下し、前年比で8.2%低下しました。世界のトウモロコシ価格は、激しい競争と、アルゼンチンとブラジルでの昨年のペースを上回る収穫による季節的な供給増加によって下落しました。2025年のトウモロコシの収穫量が米国で過去最高になるとの期待も、価格下落圧力に拍車をかけました。国際小麦価格も、世界的な需要の低迷と北半球の作柄改善により緩やかに下落、月末にかけての降雨により欧州、黒海地域、そして米国の一部地域で干ばつのリスクは軽減されました。一方、米価格指数は5月に1.4%上昇、香り米への堅調な需要と、一部の輸出国における米ドルに対する通貨高の影響も受けたインディカ米の価格上昇を反映しました。

植物油価格指数は5月平均152.2ポイントで、4月から3.7%低下しましたが、前年同月比では依然として19.1%の上昇となりました。継続的な下落は、パーム油、菜種油、大豆油、ひまわり油の相場価格の低下を反映しています。国際パーム油価格は2ヶ月連続で大幅に下落し、4月中旬以降、競合油に対する割安な水準を維持しています。この下落は主に、東南アジアにおける季節的な生産量の増加と輸出供給の低迷に支えられています。世界の大豆油価格も、南米での供給増加と、特に米国におけるバイオ燃料原料の需要低迷に圧迫され、下落しました。

食肉価格指数は4月から1.3%上昇し、前年同月比では6.8%上昇しました。この上昇は、牛、羊、豚の国際価格の上昇によるもので、家禽肉の相場下落を相殺して余りあるものでした。世界の牛肉価格は、堅調な世界的な需要と主要生産国の輸出用供給の逼迫を背景に、史上最高値を更新しました。一方、家禽肉価格については、ブラジルで5月中旬に商業農場で高病原性鳥インフルエンザが検出され、複数の主要輸入国が輸入禁止措置を取ったことで、供給過剰が拡大し、価格に下押し圧力がかかりました。

乳製品価格指数は前月比0.8%上昇、前年比21.5%上昇しました。国際バター価格は、オーストラリアの牛乳供給が逼迫する中、アジアと中東からの旺盛な需要に支えられ、歴史的な高水準を維持しました。しかし、欧州連合(EU)産バターの需要減速により、価格上昇は限定的となりました。チーズ価格は、特に東アジアおよび東南アジアにおける外食産業の需要の持続と、年初に発生した悪天候および疾病の発生によるEU域内の供給逼迫により、2ヶ月連続で上昇しました。

砂糖価格指数は5月平均4月比で2.6%下落し、3ヶ月連続の下落となり、2024年5月の水準を6.6%下回りました。この下落は、世界経済の不透明感と、それが飲料・食品加工業界の需要に及ぼす潜在的な影響に対する懸念から、世界的な砂糖需要が低迷したことが要因です。さらに、モンスーンシーズンの早期到来を受け、インドとタイでの生産量増加が見込まれることから、2025/26年には世界の砂糖生産が回復する可能性があるという早期予測も、価格に更なる下押し圧力をかけました。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

関連するページ