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1335. 2025年8月 世界食料価格動向 

 

国連食糧農業機関(FAO)は、10月3日、世界食料価格動向を公表、2025年9月の平均値は128.8ポイントで、8月の改定値129.7ポイントからわずかに低下しました。穀物、乳製品、砂糖、植物油の指数の低下が、食肉指数の上昇を上回りました。全体として、価格指数は2024年9月より3.4%上昇しましたが、2022年3月に記録したピークからは19.6%低い水準にとどまりました。

FAO穀物価格指数は、前月比で8月より0.6%、前年2024年9月より7.5%低下しました。世界の小麦価格は、主に国際需要の低迷と、ロシア連邦および欧州と北米の主要生産国における豊作の確認により、9月に3ヶ月連続で下落しました。トウモロコシ価格も、輸出国であるブラジルとアメリカ合衆国での供給過剰の見通しから下落、アルゼンチンにおける穀物輸出税の一時停止もトウモロコシ相場に重しとなりました。一方、FAO全米価格指数は、輸出可能な供給過剰とフィリピンおよびアフリカの買い手による発注量の減少を反映し、2025年9月にインディカ米の相場下落を主因として0.5%下落しました。

FAO植物油価格指数は 8月比で0.7%低下したものの、前年同月比では18.0%上回りました。今回の下落は主にパーム油と大豆油の相場下落を反映しており、ヒマワリ油と菜種油の価格上昇を相殺して余りありました。国際パーム油価格は、マレーシアで8月の在庫が予想を上回り、20ヶ月ぶりの高値に達したことが主な要因で、わずかに下落、世界的な輸入需要の堅調な影響を相殺しました。世界の大豆油価格は、9月下旬に大豆および大豆由来製品に対する輸出税が一時停止されたことを受けてアルゼンチンからの供給が増加したことが圧迫し、2ヶ月連続で下落しました。一方、ヒマワリ油と菜種油の価格は、それぞれ黒海地域と欧州における供給逼迫の継続を反映し、引き続き上昇しました。

FAO食肉価格指数は 8月の改定値から0.7%、前年比6.6%上昇し、過去最高値を更新しました。この上昇は、世界の牛肉と羊肉の価格上昇を反映したもので、豚肉と鶏肉の価格は概ね横ばいでした。牛肉価格は、米国における堅調な需要に支えられ、国内供給の制限と有利な価格差が引き続き輸入を促進し、特に価格が上昇したオーストラリアからの輸入が好調でした。ブラジル産牛肉価格も、世界的な堅調な需要に支えられ、関税引き上げに伴う米国への輸入量の減少を相殺して上昇しました。世界の羊肉相場は、オセアニアからの輸出が限られる中、世界的な輸入需要が堅調だったことから急上昇しました。豚肉価格は、ブラジル産豚肉に対する代替市場からの需要が堅調だったことが、中国の購入減少を相殺したため、安定しました。欧州連合(EU)では、中国が課した新たな関税が豚肉輸出価格に与える影響は限定的でした。家禽肉相場は、高病原性鳥インフルエンザの地域的発生に関連した輸入制限にもかかわらず、世界市場が比較的均衡していることを反映して堅調に推移しました。

FAO乳製品価格指数は2025年9月に平均148.3ポイントとなり、3か月連続の下落となり、8月から2.6%下落したものの、前年同月比では9%近く上昇しました。

FAO砂糖価格指数は8月比4.1%下落、前年比では21.3%下落し、2021年3月以来の最低水準となりました。この下落は、ブラジルにおける砂糖生産量が予想以上に増加したことが要因であり、とくに圧搾量の増加と、主要南部栽培地域における砂糖生産のためのサトウキビ使用量の増加によるものです。インドとタイでは、モンスーンによる豊富な降雨と作付け面積の拡大により、収穫見通しが良好であったことも、価格への更なる下押し圧力となりました。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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