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762. 世界食料政策報告書2023:食料危機対応の再考

4月、国際食糧政策研究所(IFPRI)の旗艦報告書である2023年世界食料政策報告書(Global food policy report)が出版されました。今年の副題は「食料危機対応の再考」です。
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761. 最近の食料価格事情

4月14日、国連食糧農業機関(FAO)の情報によると、2023年3月、全ての主要な穀物の国際価格は下落、小麦・メイズ・コメ価格ともに複合的な要因を反映しました。一方、FAOの分析によると、主食作物の国内価格は、いまだに高い水準を維持しています。なお、3月18日に60日間の延長合意となった黒海穀物イニシアチブですが、期限までもうひと月を切ったところ、ロシアの延長拒否表明や周辺国のウクライナ産小麦輸出・経由禁止の動きが伝えられるなど、不確実性が高まっています。
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760. 世界の農地における窒素汚染の効果的な回避策

農地における化学肥料の過剰使用は自然界をめぐる窒素循環のバランスを乱し、地下水や河川の汚染をもたらしたり、地球温暖化の原因をもたらしています。窒素汚染の削減が緊急に求められていますが、世界中に散らばる何百万もの大小の農地を対象とした対策には大きな課題が伴います。今年はじめ、Nature誌に公表された論文は、世界からの報告を精査し、作物収量を向上し、窒素利用効率を改善しつつ、農地からの窒素の大気・水への流出を大幅に削減しうる11の施策を見出しました。
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759. 国境なき課題、プラスチック汚染

安価で軽量のうえ優れた耐久性を持つプラスチック製品は、人々の生活に多大なメリットをもたらしています。食品ロスや廃棄の削減においても、プラスチック袋やプラスチック容器の貢献は大きく、フードサプライチェーンにとって必要な役割を果たしていると言えるでしょう。一方プラスチックによる環境汚染は深刻で、国境なき課題でもあり、国際社会による取組が必要です。
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758. 貧栄養なアフリカの土壌における効果的な堆肥施用法の確立に向けて

肥料資源の枯渇・高騰が続く中、アフリカに広く分布する貧栄養土壌での食料増産を達成するために、地域で利用可能な有機物資材に由来する堆肥の利用が注目されています。堆肥を利用して作物生育を効率的に向上するには、どこにどのような堆肥を撒けば良いのかを知ることが重要です。国際農研とアンタナナリボ大学の研究チームは、マダガスカルの貧栄養な水田圃場におけるイネ栽培試験を行い、堆肥を水田に撒いた時に増収効果がより期待できる水田土壌の特性や、増収効果を高める堆肥の特性を明らかにしました。
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757. 国連世界水開発報告書2023:水のためのパートナーシップと協力

ユネスコ世界水質評価プログラムによる報告書「国連世界水開発報告書2023:水のためのパートナーシップと協力」から、農業における水利用についての報告をまとめました。
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756. 作物遺伝資源の多様性保全に向けて

食料システムの強靭性と持続性は、作物の多様性に大きく依存しています。多くの育種研究者は新たな品種開発のために、また農家はリスク分散のために、作物の多様性を利用します。しかし、そのためには、遺伝資源が保全され、そして利用可能でなければなりません。3月27日、PNAS誌で、作物遺伝資源の多様性保全に関する特集号が発表されました。
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755. 2022年も温室効果ガスの排出が増加

4月5日、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、2022年も温室効果ガスの排出が増加、人為的な活動に起因する二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素の大気中の水準が歴史的なレベルに達したと報告しました。
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754. 2023年3月 世界食料価格動向

国連食糧農業機関(FAO)は、4月7日、世界食料価格動向を公表しました。2023年3月の値は平均126.9ポイントで、前月から2.1%、12カ月連続の下落となり、一年前の2022年3月につけた最高値から32.8ポイント(20.5%)低い水準となりました。3月の下落は、穀物・植物油・乳製品価格指標の下落を反映しました。一方、ロシア産穀物・肥料を巡る国際ロジスティックスの動向によっては、ロシアのウクライナ侵攻による食料サプライチェーン寸断の影響は長期化する可能性もあります。
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753. 飼料需要を満たすソリューションズ

現代の食料システムにおいて、動物性食品とその飼料の生産・消費が増加しています。世界の食肉生産量は過去50年間で4倍に増加しており、家畜および飼料の生産・消費部門の動向が食料システムに与える影響について注視していく必要が高まっています。国際NGOである世界自然保護基金(WWF)が提案する“飼料需要を満たすソリューションズ”を紹介したいと思います。
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752. ワイルダーPLが2023年度日本農学賞/読売農学賞授与式に参加

水産領域 マーシー・ワイルダー プロジェクトリーダーが、一般社団法人日本農学会の「2023年度日本農学賞/読売農学賞」を受賞、4月5日の授与式にて記念講演を行いました。
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751. 人新世における人類と自然との関係

人新世(the Anthropocene) とは、人類が地球の地質や生態系に重大な影響を与える発端を起点として提案された想定上の地質時代を指します。欧州環境機関は、このたび公表した報告書にて、消費主義をはじめとする既存の考え方・パラダイムそのものを根底から転換する必要性を訴えました。
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750. タイに自生するサトウキビ近縁遺伝資源エリアンサスのデータベースを公開

国際農林水産業研究センターとタイ国コンケン畑作物研究センターが共同で収集した、タイに自生するエリアンサス遺伝資源の形態特性や農業特性に関するデータベースを公開しました。本データベースを公開することで、タイやその他の国々におけるサトウキビ育種や研究、バイオマス利活用におけるエリアンサスの利用が促進され、世界の食料やエネルギーの増産に貢献することが期待されます。
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749. Pick Upで取り上げた気候変動に関する報告書

令和5年度が始まりました。国際農研Pick Upでは、国際機関等で刊行された多くの報告書を取り上げて紹介しています。令和4年度は23件の報告書を紹介しました。今回は令和4年度に報告した中から気候変動に関する4つを取り上げてまとめました。
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748. 最近の食料価格インフレと肥料問題

3月も末となり、令和4年度も終わりをむかえます。この1年間、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界食料サプライチェーン寸断への懸念から、世界食料価格・エネルギー価格・肥料価格指標は史上最高水準まで高騰しました。最近国際価格は落ち着いてはいるものの、世界各国で食料価格のインフレが続いています。また、サブサハラアフリカの小国にとって肥料代替輸入先の確保は困難であり、肥料消費が大きく落ち込んだ可能性が指摘されています。
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747. リジェネラティブな農業を考える

近年、民間企業や市民社会を中心に、「リジェネラティブ」を掲げる農業の在り方を推進する運動が高まってきています。リジェネラティブとは、壊れたものを再生し、活性化する、という意味があるようです。たしかに、現在の農業やフードシステムは、気候変動や生物多様性の消失という、現代においてもっとも深刻な環境危機の最大の原因の1つです。同時に、時計の針を単に巻き戻すのではなく、技術・経済進歩を取り入れ、世界各地の事情に応じたリジェネラティブ・パスウェイの模索が必要になります。このたび、アウトドア企業のパタゴニアが、日本において「リジェネラティブ・オーガニック」をテーマにした初めてのカンファレンスを開催します。国際農研からも、今日の農業・フードシステムの在り方を俯瞰する講演を行います。
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746. 日々の気温の乱高下(day-to-day temperature variability)

ここのところ、気温の乱高下が続いています。コロナ禍以来、3年ぶりにお花見を楽しみにしていた人々や外食産業も影響を受けたのではないでしょうか。今日は、以前も紹介したNature Climate Change誌に掲載された、日々の気温変動と経済成長の関係性を評価した論文の内容を振り返ります。
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745. 国際科学諮問委員会(第2回)開催

令和3年5月の「みどりの食料システム戦略」の策定を踏まえ、農林水産省は気候変動緩和や持続的農業の実現に資する技術のアジアモンスーン地域での実装を促進するため、令和4年度から「みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業」を開始し、国際農研が同事業を「グリーンアジアプロジェクト(プロジェクトの略称)」として実施しています。令和5年3月16日、グリーンアジアプロジェクトの活動に助言を行う機関である「国際科学諮問委員会」の第2回会合を開催しました。
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744. 世界の食料消費が将来の温暖化に及ぼす影響

農業・食料システムは人為的な温室効果ガスの主要な排出源の一つです。Nature Climate Change誌に今月公表された論文は、食料消費が2100年までに温暖化を1℃高めかねず、その75%はメタン排出源(反芻動物食肉、乳製品、コメ)によるものと推計、同時に、予測される温室効果の55%相当を、生産慣行の改善、健康的な食生活、消費・小売りレベルでの食料廃棄削減、等の対策を実施することで回避しうることを示しました。
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743. プラネタリーヘルスダイエットでは微量栄養素が不足する

世界中で反響を呼んだプラネタリーヘルスダイエットを栄養の観点から再評価すると、動物性食品が少なく、ビタミン B12、カルシウム、鉄、亜鉛を十分に供給できません。