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1038. 気候変動関連の最新指標

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1038. 気候変動関連の最新指標


気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書は、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の気候変動対策交渉に信頼足る科学的エビデンスを提供しています。一方、IPCC報告書は5-10年おきに公表されるため、サイクルの間に情報ギャップが生じることが懸念されています。 

こうした背景から、The Indicators of Global Climate Change (IGCC) イニシアチブは、 IPCCの手法に沿って、世界気候に関する最新指標を更新して発表しています。
 
6月5日、Earth System Science Data誌に公表された論文は、第6次評価報告書(AR6)の手法を用い、気候変動関連の最新指標に関する推計値を求めるためのデータセットを編纂しました。

推計された指標によると、2014-2023年の10年間、観測された温暖化は1.19 [1.06 to 1.30] °Cでした。2023年1年間の平均だけで見ると、人為的理由による温暖化は1850-1900年平均比で1.31 [1.1 to 1.7] °Cに達しました。しかし、この推計値は2023年の温暖化観測値の最高記録である1.43 [1.32 to 1.53] °Cを下回っていて、2023年においては、気候システム自体の内部振動など原因があることが示唆されました。

人為的な温暖化は観測以来、かつてないスピードで進行しており、2014-2023年の10年間に 0.26 [0.2–0.4] °Cに達しました。 この温暖化の上昇率は、過去10年間において年あたり53±5.4 Gt CO2e yr−1にのぼる温室効果ガス排出純増、および、エアロゾル冷却効果の減少、が組み合わさった結果です。

にもかかわらず、過去10年間の二酸化炭素排出増加率は、2000年代に比べて減速しており、社会的選択を通じて、気候変動対策にとって極めて重要な2020年代に、減速への変化を継承していくことが可能であることを示唆しています。

 

(参考文献)
Forster, P. M., et al.: Indicators of Global Climate Change 2023: annual update of key indicators of the state of the climate system and human influence, Earth Syst. Sci. Data, 16, 2625–2658, https://essd.copernicus.org/articles/16/2625/2024/essd-16-2625-2024.html


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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